コメッセージ No.42
例年よりも早く山や里でも雪が降って、つい2ヶ月前の暑さはいったいなんだったのかと思わせるような天候ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
私の方は新しい家に移って一か月ほど経ちましたが家の周りの整備、裏口、納戸の整理などやらなくてはならないことがいっぱいあるのですが、それよりも先に来年に向けての営農準備を怠るわけにはいきませんので、そちら優先でやっています。
まず育苗ハウスの移設。
これはいままで30㍍ほどの長さのハウス10棟ぐらいでやっていたのを67㍍4棟で済ましてしまおうというものです。
数が少ないほど管理の手間を省くことができます。
次にわら集めです。
稲わらを田から出して堆肥にしなくてはなりません。
これが結構たいへんな手間でレーキでわらを筋状に寄せて、そのあとロールベーラーで円く締めて梱包します。
重たい機械やトラックが入りますので水はけの良い硬い田しか作業できませんから、そういう状態になるように常日頃より土地改良には心を砕いています。
さらに機械類、装置類の点検整備、作業場の整理整頓、夏場に使用した資材のあとかたづけ等々いっぱいあって………ここまでできれば理想的………ですが正直言って今までここまでやれたためしはありません。
いつも中途半端で春になってあわてふためく………ここで人間の性格、素性がしっかりとバレてしまうわけで口でいくらよいことを言ってはみてもサビたスコップ、クワ、泥だらけのトラクターが放置されているようでは本人にとどまらず農場の評価までも下がってしまいますよね……まぁできるだけがんばりましょう。
それと最後まで「にお」に積んで残っていた小豆も脱穀して納屋の中に納まり、いつ雪が降っても大丈夫ということで気持ちの上ではずいぶんと楽になりましたが、今年はなにせ農協に屑米5俵しか出荷しておらず籾の貯蔵庫は満杯に近い状態で、それを見るにつけ来秋まではたして売れるものやらと心配したり、いやとにかくがんばんねばと気を奮い立たせたりの連続です。
しかしこうした気持ちの揺れには関係なく時節は移ろい、母は大根を干して漬物の準備を始め父は虎豆、はな豆などひと鞘づつほぐしてわが家にとってはとっても「小さな収穫」の仕上げを迎えています。
私はこの小さな収穫の持つ大きな意味あいを思わずにはいられません。
こうした自家生産と自家消費が一体となった営みは人が生きていく上で単純(極めてシンプル)に豊かさを実感できる時だと思われ、現代の高度に複雑化した分業、専門化社会において今こうした価値観を見直す動きが広まりつつあります。
一粒の豆の種を蒔いて何十倍か何百倍の豆の収穫をすることがバーチャルリアリティに代表される「空(クウ)」に対して「実(ジツ)」を教えてくれるからです。
「農」を志す若者が着実に増加していて、それは非農家出身の子弟にも相当及んでいるとテレビ番組で言っていましたが、単なるUターンからさらに一歩進んだ形で時代と人々の心は動いているのでしょう。 心の「充実」……黙々と鞘落としを続ける父の後ろ姿が静かにそれを語っているように思います。
投稿者:taka-farm