コメッセージ No.55(2000年12月号)
先月28日、札幌では1日で51cmもの積雪があって11月としては観測史上一番の記録とか....こうしてみると今年はとにかく極端に天候の振れる年であったと思われます。早春の雪解けの遅れに始まり、春耕期の長雨、夏の干ばつ、麦刈り、稲刈り時の長雨、そして今回の大雪....とどれをとっても中庸ということのない感じでした。そんな中でもまずまずの収穫を得られたことは、本当に嬉しいことです。
今月はいよいよ一年のしめくくりの月、というよりも二十世紀最後の年の最後の月ということで、様々な分野で総括がなされ語られています。
私達は二十世紀の正と負の遺産をそれこそ目一杯に積んだまま来る二十一世紀に入ってゆくわけですが、大局的なことは偉い政治家や評論家にまかせることにして私の身近なことで新世紀に取り組まなければならない課題を挙げたいと思います。
それはまず第一に農地の地力どうやって維持増進してゆくかということです。
これは生産物の収量、品質に直結するだけに一番の大問題です。とりわけ最も急を要することとして暗渠排水(あんきょはいすい=地下水位を下げ作物の根などが十分に育つようにするため、地下に穴のあいたパイプ等を埋設したもの)の整備が挙げられます。
私の地域は20年前に基盤整備がなされ区画整理、明渠排水、暗渠排水、用水機場、用水路、農道、防風林などひととおりの事業を終えておりますが、その大方が改修もしくは更新時期にきているのです。
純農村地帯では国やら道、当該市町村の援助で数パーセントの自己負担でこれらの工事が進められておりますが、私達の地域ではこうした恩恵をほとんど受けることが出来ません。自前で暗渠をするとしたら10アール当たりおよそ70万円かかるということで、現在の米価での同面積の総収入が平均で9~10万円ですからとうてい不可能なこととなります。
質、量ともに安定した生産があっての「田園交響楽」でありタカシマファームであるわけですから、来世紀にむけての大きな課題と言えると思います。
もう一つは労働力と後継者の確保です。
現在生産から販売までほぼ自賄いでやっていますが、家業のうちは今のやり方である程度何とかなりうるかもしれません。
しかし父母は高齢となり私や妻だけの身内の働きだけで生産現場から営業、事務経理までの分野をこなしてゆくには、いかにも労力の面で脆弱です。
本格的に直売を始めて4年が経過し、様々な試行錯誤のなかで今の姿を築いてきましたが、このままではそれを維持してゆくことすらおぼつかなくなってくるでしょう。
家の子供達は将来を託すにはまだ10年はかかりそうですし、はたして後継者になってくれるものかどうかもわかりません。
企業的な経営のエッセンス取り込んでいかないと、単なる労働力としてでなくそれ以上に期待の持てる人材の確保が難しいのではと思うものです。
こう見てくると「生産基盤」はハード、そしてそれを運用、経営してゆくのは「人」すなわちソフトであります。
来世紀に向けて当ファームではその両面で重い課題に直面していると言えるのですが、残念ながらそれらをクリアしてゆくための方策について、まだ明確な答えは見い出せてはいません。
これまでのように、どうも私の性格からかいきなりガツンと当たって初めて、「ありゃ、こりゃダメダ」とあたふたとあわてふためいて動き出す...ということではもう今の時代では遅いでしょう。
2001年はこうした課題を受け当ファーム存立のコンセプト(概念、意味合い)である「田園交響楽」で示される生産、販売姿勢を継承してくれる後代への引継ぎを念頭に置いて準備を始める年としたいし、ずいぶんと先の話ですができれば2010年には私なしでも大丈夫?というところまで持っていきたいと思うところです。
これからも皆様のお知恵やご指導ご鞭撻を宜しくお願いいたします。
カモ君達は先月21日、すべて肉に解体処理し完売となりました...
心より合掌。
投稿者:taka-farm