コメッセージ No.66(2001年11月号)
平成5年のときにあったかなぁ...あっちゃー。直径が12、3cmほどの白と黒の皿に1000粒ぐらいの試料をとって整粒の割合、色つや、黒っぽい被害粒、青未熟粒、白っぽい死米などの有無、乾燥水分などを調べて格付けをするわけです。黒い粒というのは今年の場合カメムシの食害のものは少なく、まだ原因が特定できていないようで、北海道のどの地域でも見られて一等米の割合がかなり低いとのこと。それでライスセンターのような乾燥調整施設では一等米に仕上げるため色彩選別機(黒い粒を取り除く機械)が昼夜を通してフル稼働しているらしいです。
当ファームの場合、直接消費者の方に販売する分については必ずしも検査は必要ないわけですが今春のJAS法改正によって検査済みのものしか産地、産年、品種の表示できないこととなりスーパーとか野菜倶楽部さんに卸す分については、必ず検査を受けなければならなくなりました。ですから冒頭のような三等の結果になってしまうものもあるわけですが、その後の検査では黒い粒が少なく全て二等になっています。
近年は”一等米でなければ米でない!”とまで言われて各JA別にランキング発表したり、出荷比率の高い地域に翌年の作付け面積を傾斜配分をしたりして農家の意識を啓発していますが、でもここでこれでほんとにいいのかなぁと思うことは、そうしたまず一等米ありきということから適期一斉(徹底)防除を奨励していることなのです。適期と徹底はまさに紙一重....つまり病害虫の被害というのは発生してからではもう手遅れということが多いため、どうしても予防という観点で行いますがそのタイミングが合わなかったり、天候の具合によってはやった薬が全く無駄になることもあります。ですからどうしても複数回、危険回避のためやることになるのです。結果的に広範囲の徹底した防除になりがちになってしまいます。
一等米っていったい誰のための一等なんだろう?.....スーパーで売られている米や外食チェーンで使われる米、ごはんにはまず黒い粒は入っていませんが、そうするために生産調整段階ではどれほどの農薬散布や選別の手間がかけられていることか...結局は消費者がそれを望んでいるわけですけれども、そんなきれいな米(一等米)をつくるために農家は日々さらなるコストをかけ努力しているのです。
しかし実際には黒い粒が少しぐらい入ったって、人が食べる分についてそれほど問題はないはずです。食味だってほとんど違わないでしょうし、栄養価が変わることもないでしょう。要は”見てくれ”でしょう...。子供達のなかにはわざわざ黒い粒を選って出して食べる子もいると聞いたことがあります。ひょっとしたら大人だってそうしている人がいるかもしれませんが、仮にそんな食べ方をする日本人の姿を飢えで苦しんでいる国の人たちが見たらなんて思うでしょう。きっと軽蔑と嘲笑の種になってしまうのではないでしょうか。 ...あぁなにかまた話が飛躍してきてしまいました。
要は私が言いたいのはさしたる薬を使わないでできた「米」で、それが二等、三等であっても美味しく少しでも安心して食べられればそれが「いい米」なんじゃないかなということです。狂牛病は牛に人間の都合で”とも食い”をさせた結果ではと言われています。米も人のおごりできれいすぎるぐらいにした結果、米アレルギーの発生、生態系の破壊などに多少なりとも貢献?しているとしたらたいへんな皮肉としかいいようがありません。 ...自然の前でもう少し謙虚にありたい...ですね。
話は変わって先月14日、末娘のテニスの応援で日高の静内に行ってきました。そこで一日中本当に何もしないでテニスのプレーを眺めていました。時間に貧乏性の私は出がけに、きっと退屈で時間をもてあますだろうからとデジカメのテキストと一冊の本、そしてスポーツ紙を用意したのですが.....本当にしょうのない親ではあります....とうとう何一つ取り出さないでずーっとプレーを見続けてしまったのです。
娘のチームは2回戦で敗退してしまいましたが、スポーツ少年団の外の子供達が勝ち進むところもあってまさに応援漬けの一日でした。でもなぁーんか不思議と充実した一日だったなぁ....帰りのバスの中でふとそんなふうに感じていたことが今思い返されます。
これはいったいなんなんでしょうね。普段、練習の見学にもほとんど行ったことがないので外の子の親御さんとは会話の糸口もないのですが....でもそれが苦痛かといえばそうでもない。いつもの米をつくって販売している自分を忘れ、地域でお互いに相手のことを知り合った仲間の誰もいない中で、作ってきた自分をなぁーんも出さんでいい。
こんな時って人間やっぱり必要なんだろうな...自分はどこの誰々だと何も背負わなくてもいいときが...。
投稿者:taka-farm