コメッセージ No.78
粒は「ほしたろう」の方が大きいので規格外、クズ米などかなり少なくて消費者協会の会員向けに出荷するため検査を受けた時は文句なしの一等米となりましたが、食味での評価がいまいちであれば来年の作付けははてどうしたものか、考えなくてはなりません。
ところで来年の話がでたところでここで来年に向けての準備のこと、その中でもとりわけ大事な堆肥の確保についてお話しします。
10月末のある日、親戚の酪農家から生堆肥を運搬中の悲惨?な出来事....です。ポトッポトッ....あれっ!道路に牛糞の生堆肥が少しずつ落ちている....何かいや~な予感....やや行くとああっやっぱり!交差点にどっさり堆肥の山....げっ!....。交通量の少ない場所で良かった....ダンプトラックを路肩に止めて落ちている堆肥をスコップでエイッ、ヤッっとばかり荷台に放り上げる....たまにペチャッと顔に堆肥の汁(牛の尿)がかかる....。汚いとかなんとか言ってる場合じゃない....15分ぐらいかかってどうにか片付けさらに道を行くと、やっぱりいたいた....私の叔父が道路で止まって堆肥をさらえている。
実は堆肥を積んで一足先に出発した叔父のダンプの後ろのフタのフックがはずれて、積んでいた堆肥を道路にバラまいてしまったという次第。そこは交通量も多く危険極まりないところで、ギリギリ車をはじに寄せ堆肥の片付けを手伝ったのだが、その時間のなんとも長~く感じられたこと。
パトカーでもきたらえらくお目玉をくらうだろうし、通り過ぎる車中の人々の 視線を意識しながら、これも15分ぐらいで終わってやっとの思いで帰り着いた。
こんなことは極めてまれなトラブルだけれども、こうして堆肥確保のために片道20kmぐらいの道のりを何往復もするのです。土づくりに欠かせない堆肥の原料を有畜農家からわけてもらうわけですが、こうした運搬のコスト、そして生から完熟させるまでの1~2年、何回も切り返しをして発酵を進めなくてはなりません。そして仮に当ファームの耕作田に1反(10a=1000平方メートル)当たり水田標準施用量700kg散布するとすれば、ななっなんと20haで140トンにもなります。
それだけの堆肥を自前で調達することは、機械、設備投資や労力の点から見ても不可能に近いし、極めて非合理的なことでしょう。ですからなんとか地域の他の農家との協力の中で有機質資源の確保、有効利用を図っていかなければなりません。地域のなかでの循環が整えば自ずと農畜産業を取り巻く環境問題もクリアできるのではと思います。
それにしても今年は「食」に係わる問題がずいぶんと出てきましたよね。中食、コンビニ弁当、デパ地下、ホテいち(ホテルの一階の略)....云々と食に係わる新造語が次々と誕生し、手軽に、そこそこの価格で、季節にとらわれることなく、しかもある程度の豪華さや贅沢さも味わえる、そんな超素敵な時代に私たちは生きています....が、でもどうも手放しでは喜べそうもありません。
逆に一見充実しているように見える「食」が年を追って脆弱さを増してきて、とうとうそのほころびを取り繕うことがままならなくなった年であったように思います。
BSE問題を引きずったまま、偽り表示、輸入農産物残留農薬検出、違法な無登録農薬使用等々、生産から加工、流通までの間で消費者の方々にとてつもない不信と不安を与え続けた年であったのではと思うのです。
一方で「食べる」ことについてはその食材の素性から加工、調理法そしていつどこでどのような食べ方をしたか....まで多面的な角度から見直しをしていこうということが言われるようになってきていますし、イタリアから生まれたスローフード運動が日本にも少しずつ浸透してきているのかなぁとも思えます。
食べるということは「生きる」ということに直接的にも、間接的にも大きなつながりを持っています。
もっと「食べる」ことに、みんなでまじめに考えていかないと本当に取り返しのつかないことになりかねません。
日本人の心と体を作ってきた「豊かな食」をみんなで問い直そう!!
投稿者:taka-farm