コメッセージ No.83
アメリカ人のアメリカ人的「自由」への思い入れはかなりのものがあって、独裁者などに抑圧されている人々を解放する、あるいは大量破壊兵器への恐怖から人々を解放するという錦の御旗のもとで、とうとうブッシュ大統領は攻撃の命令を発したようですが、12年前の湾岸戦争の折り父親のブッシュ大統領がケリをつけられなかったのを代わりに息子がやって?後始末をつけようというわけでしょうか。
なにかアメリカの強さというのが良い方向に回ってリーダーシップがとられるようならいいのですが....。
私は25年ほど前に農業実習で約半年、カリフォルニアで過ごしたことがありますが、普通の市民の暮らしぶりを見たり、田舎の地方での社会生活を体験してアメリカとアメリカ人の「大きさ」、「力強さ」、ふところの「深さ」、心持ちの「おおらかさ」、「良心」みたいなのを身をもって感じることができましたし、その一方でなさそうでいてしっかりと存在する「人種」の壁、豊かさ?から来る「退廃」、「犯罪」とおびただしい「消費」、「個(孤)人主義」の厳しさみたいなものも窺いしることができました。
しかし、そうしてアメリカはいろんな問題、矛盾を抱えつつも、個々の人々の強力な成功への思い(自由主義)がダイナミックにからみあい、常に世界をリードするエネルギーを出し続けるのだろうなと実感した思いがあります。
当時、夜間学校(ナイトスクール)で知り合ったカンボジアからの難民の青年の言葉が今でも心に残ります。
あなたはカンボジアが平和になったら帰りますか?という私の問いに、いいや、絶対に帰らない....なぜならここ(アメリカ)には「自由」があるから、と答えてくれました。
今度の戦争ではイラクの国民に彼と同じ価値観の「自由」を破壊と死のあとに与えることができるだろうか...はたしてアメリカ流の社会規範はイスラム世界に受け入れられるのだろうか...それこそアッラーの神のみぞ知るなんてことになってしまうのでは?...
話は替わって農薬の話題ですが、今まで当ファームでは稲の種子消毒剤を使用(アイガモ農法米を除く)してきましたが、今年から一切使わないことにいたしました。
温湯処理といって60℃のお湯に10分ぐらいつける方法で殺菌消毒するのですが、まずはそうした温度管理のできる器械ができましたので、それで行うことにしたのです。 ....もっとも細心の注意をしないと種が煮えてしまってはもともこもありませんが。
それから昨年来より農薬が適正に使用されているのかどうかずいぶんと問題になっていましたが、農水などの関係当局は規制をするのに有機栽培農家がごくあたりまえに使用していた「木酢液」などを、その効果や環境への影響が明確になっていないということで一時は使用農薬としては認められなみたいなことを打ち出してみたり....甚だしきはアイガモが農薬かどうか?なんてとんちんかんなこと議論して、えらく反発をかったものです。
結局はこれぞ官僚の出番でございますとばかり勇んではみたものの「泰山鳴動してネズミ一匹出ず」の言葉どおり、これまでの登録農薬に加えて特定農薬として「食酢」、「重曹」、地域固有の「天敵」の3つを指定したにとどまりました。
その他740種ぐらいにものぼった未登録のものについては「木酢液」と同様の扱いとなり、殺虫や殺菌の効果があると信じる個人の責任において使用するのは従来どおりかまわない...との、なんともはやお粗末な結論になったわけです。
この騒動で一番迷惑と被害を被ったのはより安全なものを生産しようと取り組んでいる農家と、その要望に応えようとする種苗、肥料、薬剤(敢えて農薬とは書きません)、資材などの製造販売業者だったわけですが、いつもお役所というところは決して責任はとろうとしませんね。
投稿者:taka-farm