コメッセージ No.86
「ということは片道90mを2時間かぁ.....げぇ~死んじまう~....」
腰を曲げつつの田の草取りは本当にきつい仕事です。
今では除草剤がありますからこうした光景はほとんど見られなくなりましたが、 一部の有機栽培や農薬を使わないこだわり農家ではこうした昔ながらの風物詩的 な除草が現在も続けられているのです。
「あ~あ、カモになりたいな....」と、となりの田でせわしなく行ったり来 たりして雑草や虫をついばんでいるアイガモ君達を見ていて本気でうらやましく もなります。
半ば水に浮き、水かきのついた足を回転させようものならススイのス~イですよ。
ならば「カモに手伝ってもらったらいいっしょ」ってかい?...そんなこととっ くにさ...実はこの田んぼ、アイガモ農法を始める7年も前から除草剤を使わ ずにお米を作ってきた田で今のタカシマファームにとっては記念碑的な存在と言 えるのですが、あまりの雑草のすごさに昨年ちょっと隣のアイガモ田から出張し てもらってカモ軍団に除草の応援をしてもらっているのです(コメッセージ74号 参照)。
しかしとんでもない雑草の種類と量だけにカモ君達の働きだけではやっぱり十分 でなく、冒頭のような惨状とあいなった次第。 そしてさらに悪いのはかあちゃんと二人で草取りをしている時など「とおちゃん、 去年言ったしょ.....来年はもっと上手に除草機かけるからさ、ま、今年は ちょっと我慢してくれって....だけどなにさこの草、去年とちっとも変わん ないっしょ」と言う家内に「ほらほら、そこにでっかいヒエとりわすれてるべや ....ぶつぶつ言わんでちゃんと見て取れや....」というような会話でつ いつい険悪な雰囲気になってしまうのです。
これが高じてくるとある日「今日、私草取りやんないから」といきなりのストライキ宣言ですよ....まぁ会社にもなったことだし社員の正当なスト権行使と いうことでしょうか。とにもかくにも草取りは大部分の農家で家庭内不和の大き な原因となっていることは、間違いない事実でしょう。
皆さんには安心して食べることのできる安全な食物をつくるということの裏には こんな(つまらない)ことも隠されているんだなということをわかってくだされ ば幸いです。
ところで世の中さっぱり景気が良くなりませんね。 北海道では失業率が8%を越えたとかいっていますが、実体はもっと悪いんじゃないかなというような気がします。
私の周囲でも20代、30代で失業中、新卒でも就職口がなくぶらぶらしているのが けっこういますし、私と同世代かもしくは上の人でも社長だった方は会社倒産で どこか雲隠れしていなくなってしまっただとか、管理職で会社の中枢にいた人などは新たに仕事を求めるのに頭の切り替えができなくて困っているとか.... そんな話がぽつぽつ聞こえてくるようになりました。
若いときからわりと商工関係の方々とのおつきあいがあって、羽振りの良かった ころを見聞きしてただけに本当に厳しい時代になったものと感じています。
しかしこうした「民」の方の窮状とは裏腹に最近、雇用促進事業団などの特殊法人の予算消化の仕方や採算度外視の福祉施設建設における金銭感覚のなさが話題 になっています。それにしても「官」の方はいったいどうなっているのでしょうね?
小泉さんにはぜひとも大ナタをふるってもらって「官」の改革をやって欲しかったのに...なんかそれも近頃危うい雰囲気ですし.....。
投稿者:taka-farm