コメッセージ No.103
うーむ・・・・確かに乳白がかった白い粒がかなりの割合で入っていて、ちょっと目には未熟米かもち米が混入しているようにも見える。私も新米を初めて精米したときにいつもよりは多いなとは思ったのですが、皆さんの中にもお買い求めの品でこうした感想を持たれた方がいらっしゃるのではないでしょうか。
「ふるい目は1.95mmで通してあり、くず米等の未熟粒が入っているということはありませんから・・・・・」とは言ったものの現物を前に、やっぱり気になる人がいても当然といえば当然かもしれません。
それから、ま、せっかく来たんだからちょっと座ってさ、とS氏に誘われ、15分か20分ぐらい話し込んでしまいました。「最大の要因は登熟期に暑すぎたことかも知れません。
なにせ新潟とか北陸地方では近年温暖化の影響で田植えを10日から2週間も遅らせて、登熟期に極端な暑さが当たらないようにしているぐらいですから・・・・」と私・・・・そうです、彼の地でも高温障害でできる乳白米が問題になって、その対応策でこれまで労働力(家族の手伝い)の都合から5月のゴールデンウイークに集中していた田植えをわざわざ遅らせて、実りの時期の暑さを避ける工夫をしているのです。
そのほかにカメムシの食害以外の黒い粒もちょっとあるかなと思われるのですが、これは私が生まれて50年、過去に経験したことのないような落雷の嵐が吹き荒れたとき、雹(ひょう)が降って稲穂に当たって黒く変色した粒ができたことも考えられます。
こんな内容の話をして「いや、わかったよ」とS氏・・・・で最後に「でも、それならちゃんとそうしたことを前もって説明してくれなきゃ・・・・少なくとも高嶋さんはプロ農家なんだから」と、ほんとこちらの痛いところを言われてしまいました。
このような話から始まって今年の米価(米市場価格)のバカ安ぶりとそれにもはや水田農家は対応不可能、すなわち米作りに見切りをつける農家が激増するだろうという話、当然続ける農家だって経費をぎりぎりに切りつめるため実際に食べる人たち(消費者)のことまで考えなんか及ばず、まったくの捨て作り、片手間作りになってしまうのではないか・・・・で、結局それは素性の知れた品質の良いものを求めたい消費者にとってもとても不幸なことになるのではないか・・・・云々。
こうしてS氏のクレームからいろいろ深い、意味ある話ができたことは本当に良かった。
日頃から私たち農業者の生の声を皆さんにどんどん届けたい・・・・・と思っていますのでどんどんとクレームをください・・・・・・・・・・・・・・とは・・・・・・・言い(ぇ)ません・・・・。
やっぱりクレームは少ないに超したことはありません、もうこれ以上さらに気疲れで痩せてはたいへんですから(現在185cm, 64kg)。
ところで話はかわりますが、コメッセージ6月号で書いた"新しいことに挑戦"・・・・の顛末を報告いたします。
ひとつは除草剤や除草機に頼らない無農薬栽培の試験です。
ある種の粘土鉱物を使って雑草の種子内のアンモニア過剰を誘因して発芽抑制をさせ る・・・・とかいうものでしたが私のやり方が悪かったか、そもそも草の種が多すぎ た(過去2年間アイガモ農法実施田)のか、とんでもない雑草田になってしまい、と うとう刈り取り部に六角形のぐるぐる回るやつがついているコンバインに来てもらって賃刈りしてもらったという次第。
収量はないは、余計なお金はかかるはでまずは大失敗でした。
もうひとつは黒米の栽培です。
これは先月からお米を購入のお客様にサ ービスしているわけですが、種の発芽が悪く、苗もぱらぱら、とても機械で植えられ るような代物でなくやむなく手植えからスタート。
幸い好天に恵まれたおかげでどうにか最後っぺの収穫にはこぎ着けたものの、昨年のような冷害年だったらちょっと厳しかったかもしれません。
こうして来年またいろんなことにチャレンジしつつ、できるかぎりクレームのないようなお米を作っていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
投稿者:taka-farm