コメッセージ 119号
先月北見の友人のところに行くのに道東自動車道を通ったのだけれども遙か前方に一台の先行車を望むのみ。
十勝清水から足寄まですれ違った車は50台もあったろうか・・・・路面は乾きグレーの筋が十勝野を突っ切っていく。
畑は雪も融けて白と黒のまだら模様、麦畑の緑の縦縞がゆるやかに波打っている。
後ろを見やれば遙かに日高の山並み、そのノコギリ状の稜線が青空に映える。
「やっぱり十勝はいいなぁ」と心の中でつぶやき、かつて学生のときに暮らした4年間の思い出が頭をよぎります。
そしてふと気づくとちょうど卒業して30年ではありませんか ・・・・。
「本当に社会に出てもう30年も経っちゃったんだな」と今度はその30年に改めて嘆息。
学生の頃やら、社会に出てからのことがごっちゃになりながら車は"走馬燈"を灯しながらひた走ります。
高速を降りてからも車の少ない山あいの国道を快適に走りますが、やはり気になるのは過疎・・・・小さな町を通っても人通りはほとんどないし、店のシャッターも結構閉まっていて、北海道の中の地方の現実が車の窓越しにひしひしと伝わってきます。
昨年は太平洋側を釧路、根室と走ったのですが人の少なさという点では同じようなもので地域興しとか街づくりとかいろいろ言われているけれども、はたしてそれで何とかなるんか?と思えてきます。
国は道州制とかなんとか言って北海道をその先駆けとし財布は押さえつつも地方から撤退しようと画策中で、地方は地方で自治体の合併で行政の効率化を高め財政負担を少しでも減らそうとやっきになっている。
地方を走っていると本当に立派で素晴らしい農道が整備されているのに驚くほどだが、これから先、こうしたインフラの維持、管理はどうなるんだか・・・・そしていきなりとてつもなく立派な物産館?コミュニティーホール?が目に飛び込んでくるがその駐車場には車がまばらでどのような利用がなされているのか・・・・気になります。
そうこうするうち車は北見に到着。 ひさしぶりに友人のY氏と会いその夜は市内のレストランで地ビールを味わう。
地ビールといえば一時雨後の竹の子のようにあちこち立ち上がったものだがいつのまにか消えてしまった、それこそ地域興しの失敗例の典型かもしれない。
「ここの地ビールはそこそこ頑張っているほうだよ」という彼と次々に5種類ほど飲み、話題も学生の頃のこと、子供のこと、田や畑のことなどに華が咲きます。
彼の息子さんはあとを次いで農業をやるとのこと・・・・30年の農業経営の苦労が感じられる表情を浮かべて期待半分、心配半分とか・・・・しかし私にしてみればまさに「後継ぎが固まっているだけいいじゃないの」です。
農家で後継者をちゃんと確保したというのは今の時代、間違いなく表彰状ものですよ。
で、酔った勢いで次の店へ、いつのまにか日にちをまたいで飲んでしまったのだが、そういえば久しくそんなことはなかった。
学生時代の友というのは30年の間にたった2回ぐらいしか会わなくてもお酒が飲めて、話ができて、遠い過去からそして未来まで酔境の内に語られる・・・・から楽しい。
地域に根をおろし、次代に受け渡すべき種をまき、育ててきた"地域人"としての有り様を自分と重ねあわせてお互いに観ているのだろう。
さてさて私のまいた種はちゃんと実るのだろうか・・・・。
投稿者:taka-farm