コメッセージ 120号
先月、4月の天気については皆さんもさっぱり春らしくポカポカ陽気にならないことにずいぶんと気をもまれていたのではないでしょうか。
今冬の大雪で雪解けの遅れは心配されていましたが、2、3月の天気が割と良かったので意外と早く進み、あぁ、これなら大丈夫だ・・・・と思わせておいての、この4月の天気だもの・・・・全くフェイントにかけられたようなものです。
田、畑の乾きが悪く仕事はかなり遅れ気味、そして何より大切な種まき後の苗の成長にも遅れが出ていますし、こうしたときには弱り目に祟り目というやつで、病気も出やすいから本当にそれこそ心配の"種"はつきません。
でも昨年も春先はずいぶんと不順な気候でのスタートで出来秋が心配されていたのですが、結果的には暑い夏のおかげで大豊作となりましたから、こればかりは終わってみるまでわからないのです。
わからないからいいのでしょうね・・・・わからないから種を蒔くんですよね。
ところでまた悲しい...というか空しい・・・・というか本当に農家にとって残念なニュースが流れましたね。
「えっ、牛乳を捨てるって?」一瞬我が耳を疑ったのですが、生産が過剰なのか、消費の伸びが予想よりも下回ったからなのか、とにかく産廃扱いで廃棄物処理場行きですって。
そんなアホなと思いたくもなりますが生乳は生鮮物中の中でもその最たるものですから、バター、チーズなど加工分は別としても日持ちがしませんので、余ればいきおい捨てざるを得なくなります。
ある酪農家の方が怒り口調で言っておりましたが、「牛は水道じゃないんだ、余ったからって蛇口を閉めるように簡単に止められない」って。
30年くらい昔だったか、今回とは別の理由だったとは思いますが食紅を牛乳に混ぜて出荷できないようにしたことがありましたよね。 毎日、毎日の丹精が捨てられる・・・・時は経ってもまた繰り返してしまうこうした過ち。
そして捨てるにも今はかなりのお金(処理代)がかかりますから二重、三重にも心理的、経済的な負担が増幅してしまいます。
牛乳の生産量が予想以上に増えたのは、日々のたゆまぬ酪農家の研鑽、例えば個体の何世代にもわたる改良、餌の質の改善、IT技術を駆使した個体管理の徹底などがありますが何より大きかったのは、昨夏の好天で高品質の餌ができたためとも言われています。
美味しい栄養のある餌をいっぱい食べると・・・・・やっぱりオッパイもでますわね。 そして予想以上に消費が伸びない・・・・というよりも減少気味なのは、少子化で子供の飲む量が減ったから・・・・というより他の飲料、例えばミネラルウオーター、お茶などヘルシー志向で、栄養よりもダイエット的な発想が現在の日本の「食」の潮流となっているからとか・・・・。
確かに栄養摂るよりも返ってしぼった方がいいような体型の方が圧倒的に多いですわね。
生産と消費(需要量)のとんでもない見誤りは36年前、お米の減反が始まったときに経験しているけれども、今度は牛乳が"第二の米"になるのだろうか。
日本の食料自給率が40%あるなしの中で「米」、「牛乳」の過剰と一方で「麦」、「大豆」などの数%の自給率がいびつに併存している姿はどうみても異常?でしょう。
平成19年より農水省の政策で米から麦、大豆への補助金による誘導がより鮮明になってはいますが、近年の農家はそれへの嗅覚だけは鋭敏になっており、今年はとりあえずできるだけたくさんもらうための実績づくりに余念がないようです・・・・・が・・・・・ さてその先には何が待ち受けているのか?・・・・わからないからいいのでしょうね
投稿者:taka-farm