コメッセージ 122号
3塁コーチボックスには我が家の長男、良平が逆転を信じて立っている。
打席には4番バッター・・・・・ここで一発出ればまさに起死回生の逆転劇・・・・・になるはずだったが打球は無情にもショートゴロとなってセカンドホースアウト・・・・で試合終了。
中学から高校までの6年間続けてきた野球、最後は準レギュラーながらキャプテンまで努めて頑張ってきたその 野球の最後のシーン、コーチボックスでいかにも"終わったか・・・・"というような風で立つ長男の姿を先月末に妻とともにこの目に焼き付けてきました。
実はこの6年間、土日、祝祭日もなく年がら年中の野球三昧の息子で農作業の手伝いをほとんどしてくれたこともなかったのですが、かく言う私の方は私で息子の試合はこれまで一度も観戦したことがなかったのです。
わりかし時間のとれる冬場は野球の試合はないし、夏場はそ れこそ仕事にぼわれっぱなしで気が付いてみると子供とのふれあいの時も持たないで来てしまった・・・・という後悔の念があって、ひょっとして今までの6年間の集大成となるかも知れないこの試合だけはなんとしても観ておきたかったというのが本当のところだったのです。
グランドに立つ息子の姿は正直言って"まぶしかった"です。
親ばかと言われてもしかたがないでしょうが、円陣を組んでチームメートと声をかけあってキャプテンとしての役割を果たしているその姿はとても素晴らしいと思いました。
私の高校時代はこれといった部活もせず、何かに情熱をもって打ち込んだりといったこともなかった・・・・もちろん女の子との交際も・・・・。
そんな私の高校生活とは全く対極のような息子の青春真っ盛りに拍手を贈りましょう。
で、その息子もいよいよ野球から離れて人生の進路選択を考えなくてはならないのですが、後継の道もそのひとつとして捉えているようです。
農業関連の学部を持つ大学への進路希望があって親としては嬉しい気持ちもありますが、最近の米をめぐるあまりにも厳しい状況を見るにつけ"先"行きが大丈夫?なのかとやっぱり心配ではあります。
しかし米だけが農業ではありませんし、単なる生産だけでなく、加工、直売などをもからめての農業全体の可能性を考 えたときにはおもしろい部分があることもまた確かです。
私には持ち合わせない新しい感性で"次代に合った農"に向き合えば自ずと道は開かれるでしょう。
振り返ってみれば30年前私も大した手伝いもせず高校、大学と7年間プラプラして後を継いだとき「こいつはだいじょうぶか?・・・・」と両親に思われたハズなんですよね。
春先の超多忙なときに趣味の写真を撮るためカメラをぶらさげ、農作業風景を撮って歩いた・・・・とか腰痛の持病持ちで診療所通いを数年間続けたり・・・・本当にこいつは"百姓"勤まるんかと散々心配かけた方ですから。
そんなわけで今後の数年間は息子への期待を持ちつつ、後継に道を託すための準備期間として新たな段階に入るものと思います。
その時にはあまりに気色ばって上から見下ろすようにああだこうだと言わないようにしなくてはなりませんね。
彼の選択肢はあくまで広くとってあげておいて、自発的に考え動くことのできるような状況にして置いてあげたいのです。
野球に打ち込んだ6年間の頑張り、努力、チームプレーで培ったリーダーシップ、監督、先輩、後輩との付き合い方やこれらの様々な経験・・・・はきっと彼に人生に大事なことは何かということを教えてくれているはずですし、適切な判断力も与えていてくれるものと思いますから・・・・。
投稿者:taka-farm