コメッセージ 151号 2008年 12月号
私が住宅の裏口から入るや否や、そこにいた家内と息子が口をそろえて言い放ちます。
私は堆肥の切り返し(混ぜっ返すこと)をやっており、やや半日近くその臭い中で作業を続けていたため、どうやらその臭いが衣服や体に移ってしまったようです。
長時間の作業中、私の鼻も麻痺してしまったのか自分ではさほど感じなくなってしまったようで、そのまま街へ用足しにでも出ようものなら「このクソ親父!どっから出てきたんだ?」と奇異の目で見られることでしょう。
それですぐに服を脱いでシャワーを浴びてなんとか家内の許しが出て家の中にいられるようになり・・・・やれやれといったところです。
私のところで作っている堆肥はJAのライスセンターから排出されるモミガラを無償で譲り受けて、それにこれまた無償でわけてもらう採卵業者から出る鶏糞を混ぜて水を散布して何回も切り返して作るものですが、初めのうちが前述のように臭いがきついのです。
しかし切り返しを重ねるうちに臭いも消えていって土のようになってきます。
さらにそこにはミミズがいっぱい生息するようになってきます。
そうした堆肥を200坪ぐらいの堆肥場で作るのですから、その量たるや半端なものではありません。
でも堆肥の材料は無償なんでしょ?ですって・・・・しかし目方の割に体積のあるモミガラを片道20kmほども荷台の大きなファームダンプで50台からそれ以上も運ぶんですよ。
この手間がバカになりません。
そしてそれからキャビンなしのトラクターで寒い冬に何回もの切り返しですから、正直いって辛いものがあります。
ところで、国の安全、国民の安心はどうすれば守られるのでしょうかね?
自衛隊の某幹部だった人の言動がたいへんな話題となっていますが、彼の人の曰く,専守防衛のタガをはずした自衛力(軍事力)と、自前の核抑止力をもってしてなさん・・・・ということのようですね(憲法9条はどこへいってしまったの?)。
この話を聞いて恐ろしい話だなと思った方がかなりいたのではないでしょうか。 自衛隊の内部でこうした考えがあたりまえのように言われてるとしたらゾッとします。
確か10年くらい前に国の農水予算と防衛予算は逆転して食べることより軍備とその訓練の方にお金を多く使うようになったと思いますが、しかしいくら武器やら、核を持ったにしても今のニッポンは例えば、燃料やら飼料、肥料、そして食糧を止められたら数ヶ月と持たないではないですか。
「腹が減っては戦ができない」・・・・の道理ですが、軍備がそれらの権益を維持する手段になりえる・・・・ということでは70数年前のニッポンが辿った道をまた歩み始めたのではと勘ぐりたくもなります。
ミシュランの2009年版によると東京はパリをも凌ぐ世界一の食の都らしいですね。
一食食べるのに数万円かかるような私には全く縁のないような世界の話ですが、そういうようなピンの世界から月数万円の食費でギリギリのキリの暮らしまで、レベルはいろいろあっても今、災害でもないかぎり国内で"明日の食べ物"に困っている人々が多数いるなんていうことは聞きません。
なんだかんだ平和ボケと言われながらも皆が"食べられる"ということが今のニッポンの平和の要だと私は思います。
ですからまずは落ちるとこまで落ち込んだ農林水産業の生産力の回復を図ってゆくことこそが、一朝有事の際の国の安全、国民の安心にとって一番大切なのではないでしょうか。
大砲の弾つくりよりも土づくり・・・・土づくりのための堆肥つくりで平和な日本でしょう、やっぱり・・・・来る平成21年が平和な年でありますように。
投稿者:taka-farm