コメッセージ 186号 2011年 11月号
と、でかいユンボやらブルドーザー、ダンプトラックが当ファームの作業場(納屋)の裏手でうなりをあげて仕事をしています。
いよいよ千歳川の堤防補強工事が私の地区でも始まり、12月いっぱいの行程で完成させるべく早朝から暗くなるまで、日曜返上で工事をやっているのです。
そんな光景を見ながらふと思い起こしたのは、昭和56年の大水害です。
高さ6mはあろうかという堤防ですが、その提頂(堤防のてっぺん)の1mぐらい下まで水がヒタヒタと押し寄せてきて、川の水が下流から上流の方へ流れていくのです。
水に浮いた流木が下流側から上流の方へゆっくりと動いていくのでそのことが良くわかります。
堤防の弱いところからは水がしみ出してきていつか決壊するかも知れないとひどく不安にもなりましたが、そのときはどうにか持ちこたえてホッと安堵したといった ことが30数年の時を経て脳裏によみがえってきました。
それ以来さしたる洪水の被害もなく長期にわたって無事営農を続けてこられたことが、本当は奇跡的な事と言ってもいいのではないかとさえ思えてきます。
特に今年は3.11の大震災とそれに伴う津波、そして原発からの放射能汚染と天災、人災いろいろ織り交ぜて苦難を背負い込んだ人々を思うにつけ、そうした思いがより一層強くなってくるのです。
ところでその洪水でとんでもない事態になっているのがタイです。
延々ともう3週間(10月末現在)ぐらいも各地で水があふれ、水没して深刻な被害が出ているようです。
400社を越えんとする日系の企業がタイに進出していてその多くが被災、工場、倉庫、事務所などが二階部分を残して水没している画像をテレビニュース等で放送しているのを見て、これは操業再開にメドがつくったらいったいいつになるのか、私のような素人目に見ても相当な期間と巨額の資金がいるだろうと思えてしまいます。
大体においてまず水がいつになったら引くのかそれすら見当がつかないのですから....。
この直接的な原因については例年の倍近く降った雨みたいですが、より被害を大きくしたのは山の木々を伐採して開墾、開拓したことや平場の農地をつぶして町や工業団地を造成したりしたことで大地の保水力が低下したことなどが絡んでいるようなことを言っています。
日本と同じようなことが世界中で展開されているんですね。
ただ、多くの場合日本では山間の土砂崩れ(土石流)によるものや急激な河川の増水での被害で、雨がやんで何日もしないうちに浸水や氾濫も収まるのですが。
さて、10月末で世界の人口が70億人を突破するらしいです。
私が学生の頃は30億人少々ぐらいだったと思いますが、30数年で倍になったようでこの地球上ではまさに人類のみが増殖、繁栄?をしているといった図式です。
さらに世界中自由貿易にすればもっと経済的に豊かになれるだろうと食糧、工業製品など直接生産に係わる部門の関税撤廃はもとより医療、福祉、教育、労働、金融、その他諸々のサービス関連産業.......とにかく人の係わる経済活動の全てにおいて障壁をなくそうということで、このところ震災の影響もあってなりをひそめていたTPPがまたぞろ表にでてきました。
でもね、増えた人が「富」という豊かさを求めて世界中の"物"や"事"を動かすことに、はたして今の地球は耐えられるのだろうか? タイの洪水禍は地球の涙なんだよね、きっと。
TPPを主導するアメリカの生活を世界中の人が享受するには地球が5個、日本の暮らしでも2個は必要なんだっていうから、とっくに限界に来ていると思うんだけど。
投稿者:taka-farm