コメッセージ 189号 2012年 02月号
1月末、正味3日間の東南アジア、マレーシア旅行に行ったときの首都クアラルンプール空港で降り立ったときに思わず口をついて出てしまった言葉です。
北緯3度、ほぼ赤道上にある国だけに当たり前なんでしょうが一年中温度が30℃前後とか、私の暮らす北広島は朝は-15℃以上まで冷え込む毎日が続いていただけに正に温度差を実感した一瞬でもありました。
空港からは迎えのツアー会社の車でホテルへ直行ですが、ここで改めて東南アジア諸国の発展ぶりの一端が見られました。
高速道を走るおびただしい車の数、遠くに見えるかつて世界一の高さ(現在はドバイのタワーで、今年の5月には東京スカイツリーが世界一になります)を誇ったオフィスビルのツインタワー、沿道には建設ラッシュのマンション群、人口250万人の首都は高度成長のまっただ中にあります。
現地ガイドのRさんの説明の端々にも、かつて日本の経済発展著しい時の自信に満ちたさまと同じような高揚感が窺い知れます。 年経済成長は5~6%、全人口はまだ2200万人ぐらいですがどんどん増えているとのこと。
一応13州からなる連邦制を敷いており日本の天皇と同じような権力のない王政のもと、9州のそれぞれの王様が交替で連邦統一の王様(国家元首)に就くらしいです。
マレーシアの王制のことについてはこのときまでほとんど知識がなく、その存在すらも知らなかったのですが政治の前面に出ることなく国家の統一の象徴として立場を置いていることに、国民の見識の高さを感じます。
この国の国教がイスラム教ということを知る人はほとんどいないと思います。
街中を歩く人々の容姿は実に千差万別、というのも古くからの現地マレー系の人々は過半の52%であとは中国系、インド系の人々、そしてその混血からなっているとのこと、そのマレー系の人々がイスラム教を信仰しているのです。
しかしマレーシアでは中東のような混乱やテロは起こっていませんし、経済発展は東南アジア諸国でもトップクラスです。
3つの民族が4つの宗教(イスラム教、仏教、ヒンズー教、キリスト教)を持ち、連邦制でまとまり、経済発展が著しい.....何故? Rさんの曰く、それはお互いに尊敬(尊重)しあっているから、そして譲り合っているからという明快な答えが返ってきました。
もっぱら政治向きや公務員はマレー系、商売、経済は中国系、医者、弁護士などのサービス関連はインド系とか、うまい具合に棲み分けができているらしくその上でお互いの生活様式を尊重、干渉しないようにしている。
例えば街中で散歩している犬を全く見かけないのは、イスラム教では犬は嫌われている動物で敢えて他の宗教の人々が飼わないのだとか、あとは食事や祭りもそれぞれの宗派に合わせてやっていて決してお互いに押しつけあうことをしない。
では日本ではどうかな.....彼国と比べて人種や宗教という問題はほとんど無きに等しいはずなのに....経済が成熟(安定)期にいたるも相変わらず我も我もと権利や物欲に取り憑かれているし、子供の世界では尊重というのと対極にある「無視」、「しかと」という"いじめ"が横行している。
震災のときの被災者の行動は確かに世界に誇れる部分だが、一方でそれに大いに助けられた政治のまずさは今もって続いている。
マレーシアの交通機関には時刻表がなく、実際にクアラルンプールの中央駅には全くそれらしきものはないが10分ぐらいの遅れは超ラッキー、待っていればそのうちにやって来るという人々、現在の発展の礎を築いたかつてのマハティール首相を敬愛する国民がひとつにまとまって、これからも名実ともに豊かな国づくりに向かって欲しい。
投稿者:taka-farm