コメッセージ 210号 2013年 11月号
M県の米穀業者が中国産のお米を国産米と偽って販売....という偽装米のニュースが流れた時に私がまず思ったのは、起こるべくして起きた事件だということです。
以前にも糊の原料などに使う加工用のコメを食用に転用したなんていう話がありましたが、長らく続く景気低迷、デフレの中にあってコメの価格はず~っと安値安定で来ましたし、スーパーの安売り合戦のなか米卸し業者に対する納入価格への理不尽なまでの引き下げ要求も相まって、やってはならないことに手を染めてしまった....ということだと思います。
事件を起こした業者はその地方では老舗の中堅、市(まち)でも指折りの企業でおそらく信用もあったに違いないはずですが、今回の不始末により会社は無くなってしまうでしょう。
その市(まち)にとっては雇用とか税収などの面でそこそこの貢献もあったでしょうが、それらが無くなってしまうわけで結構な影響もあることでしょう。
しかし、そうした米を白米として、あるいはおにぎりとして売った大手スーパーはどうなんでしょう。
被害者という立場だけでいいのでしょうか?.....確かにより安く消費者に販売することを目的としている以上、より安く仕入れなければやっていけないわけですから罪が無いと言えばそうなんでしょう。
でも力関係ではどうみても大手スーパーが上で「この価格でないと買わない」と言われれば中小卸は泣く泣く従わざるを得ないわけです。 これは大企業を支えている中小下請け企業と全く同じ構造ですね。
ところで、当ファームの今年産米の評価はいかがでしょうか。
昨年産と比べると「しらた」と言われる白くはぜた粒や青未熟粒も多く見受けられ、外見上はあまり良いとは言えませんが検査を受けた結果はゆきひかりを除いた各品種、いずれも1等米となっています。
また食味も購入の皆様からはまずまずの評価でホッとしているのですが、毎年、同じ天候などはあり得ないわけで、出来、不出来は穫ってみるまでわからないのです。
だからおもしろいということもできますが、年々直売の割合が高まるにつれ当ファームでは極力お米の出来(食味の向上と病虫害に侵されないこと)に波のないようにすべく、より一層の工夫、努力をするようになりました。
偽装はお米だけでなく、一流ホテルのレストランメニューにまで及び、そこまでやるかといった感じになっていますが、これも氷山の一角かも知れません。
日本はいつのまにかまっとうな商売ができない国になってしまったのでしょうか。
タカシマファームのお米を初めとする農産商品は決して安くはありませんが、でも価格相当もしくはそれ以上の価値はあるものと思っています。
投稿者:taka-farm