コメッセージ 221号 2014年 10月号
というよりも実際には25日にほぼ終了していたのですが、わずかばかり乾燥機の容量が足りなかったばかりに時間にして20分ほどの稲刈りができなかったのです。 今年は稲刈りが始まったのも終わったのも昨年よりもさらに早く、2年続けて過去一番早いという記録になってしまいました。
気象情報では近年かつて経験したことのないようなという表現があまりにも多く、またかとも思うところですが、これが自分のところで昨年、今年と2年連続となるとあたかも他人事のようにまたかとも言ってられないような思いにかられます。
おかげで北海道は全国一の作況で大豊作ということですが、この豊作を全く喜べない米価にはほとほとあきれかえってしまいます。 「新米の茨城コシヒカリが10kg、2300円で売っていたぞ」と息子の良平が言ったのには、さすがに私も愕然としてしまいました。 天下のコシが私のところの5kgといっしょの値段だなんて.....なんか背筋が寒くなるのを覚えます。
うちの米は価格以上の価値があるし、あるようにも作っていると手間暇をかけ、米作りにかける自負と誇り、情熱を傾けてやってきたつもりでしたが、それらを木っ端みじんに吹き飛ばしてしまう米小売価格で、早晩この価格があたりまえの世の中がこないともかぎりません。
という一方で今月10月からは様々な品物やサービスで値上げラッシュだといいます。
最低賃金も若干上がるらしいが、安倍首相の言っていた輸出大企業など一部の儲かっているところからのトリクルダウン効果とやらで一般庶民までその恩恵が回ってきたあとならまだしも、そんな実感のないままの値上げなら景気の底上げどころかへたをするとデフレスパイラルの再来につながりかねない.....
今、日本では着実に貧困家庭が増えているというが、母子家庭などで一日に一食しか子供に食べさせられないという姿を某TV局が放送していました。
それを視てなんともやるせなく、今の政治はどこを向いているのか....そうなったのはやっぱり自己責任だとして片付けてしまうのか....やっぱりどこか間違っている。
このままでは少なくとも米農家だけにはいち早く奈落の底へ突き落とされて二度と這い上がれないような打撃になりそうですが、ならし対策という制度がありこれに加入し 作付け面積に応じた負担金を積んでおくと、一定以上に生産物価格が下がった時に基金と国の補助を合わせて農家に支給されるようにはなっています。
今回はこれが発動されそうな雰囲気なのですが、経営収支の多少の改善にはなっても農家個々への心理的な米生産意欲の落ち込みをカバーすることはできないような気がします。
もっとも日本農政は平成29年度減反政策を廃止するらしいですから、政治家、役人達はいいタイミングで米価の値崩れが起きたと喜んでいるかもしれませんが?
投稿者:taka-farm