コメッセージ298号 2021年3月号
「うわ~っ.....えっ....何々....米1俵(玄米60kg)50万円!って....」どういうこと??
メロンなんかは初出荷の御祝儀相場で2玉、ン十万なんてことがありましたが、米ではとんと聞いたことのない価格でしたので、思わず目を皿のようにして農業新聞記事を読んでしまいました。
米というのは山田錦という昔から栽培されていた酒米用品種で今も全国的に使われています。
北海道でも近年吟風(ぎんぷう)、彗星(すいせい)、きたしずくなどの酒米品種が作付けされるようになって、道産米原料の酒がおいしく楽しめるようになりましたね。
50万円の山田錦は「獺祭(だっさい)」という日本でも一番高い値段で販売されているお酒の原料として山口の酒造会社が特別にコンテストを行い優勝した生産者から買い取るということで付けた価格で、厳しい規格をクリアした福岡の農業生産法人が見事優勝、最終的には60俵3,000万円で購入されたようです(通常の山田錦生産者価格は60kgで25,000円ほど)。
この米のお酒はこれから仕込まれるわけですが、いったいどれほどの価格で販売されるのか興味もあってネットで調べてみると、19年産の同様のお米を使って作ったお酒は香港のオークションで720ml1本で最高額84万円余りで落札された(ちなみに6本出品で最低価格は75万円ほど)ようで、ごく一部とはいえこれまた私にとっては驚愕の金額ではあります。
ところでコロナではやっと輸入ワクチン接種が始まりましたが、医療先進国と思われた我が国も世界で先駆けて早いうちに自国産で始まるのかと思いきや、ずいぶんもたついてこれからも様々なトラブルが起き全国民が打ち終わるのに越年もありそうだなんてことが言われています。
自国産の研究もされてはいるようですが大量生産、調達にはまだまだかかりそうで、そのできない理由はこれまでの厚生行政のあり方に問題があることが指摘されています。
過去にあった混合ワクチンの副作用発生と対応時のトラウマからワクチン行政に及び腰になっていて、この国家一大事にあってもとても間に合う状況になっていなかったといいます。
金にあかせてワクチンを買いあさるなんてことは国際的な世論を考えるとできるはずもなく、またいざとなれば輸出国だってまずは自国民を第一に考えるでしょうし、まさしく今回は日本国民の健康、生命を外国に依存しなければならない事態となってしまいました。
話は戻りますが同じお米でも前述の1俵50万円の米と違って主食用のお米は長期に渡るグローバルな価格競争と今回のコロナ禍の需要減も加わり現在市場価格は玄米60kg当たり1万円代の前半から半ばぐらいの誠に情けない状況になっています。
ちなみに一番高かったのは1984年、18,688円(政府買い入れ価格)で実にそれから36年、一貫して下がったまま下げ止まりの状態で卵の価格にも負けないくらいの優等生?ぶりです。
失われた20年、先進国で唯一給与所得が上がってない日本ですがお米も上がっていないのです。
ただこれでも長年派遣、非正規雇用で労働者賃金を低く抑え社内留保をため込んできた財界から
はまだまだ高い、1俵1万円以下で限りなく安く作れと言われるのはほんと笑止千万ものです。
ワクチン調達、食料確保どちらも国民、国家の健康と存続に不可欠なものですが政府、国会議員、オリパラ組織委員会、総務省、農水省などの相次ぐ不祥事に何を頼りとできましょう。
投稿者:taka-farm