コメッセージ326号 2023年7月号
先月の農業新聞に旭川のA氏が試験的にアイガモ農法をロボットでやってみる話が載っていて、
水田雑草の抑制と省力化の効果を見極めたいと見出しに書かれています。
私もかつて20年近くアイガモ農法に取り組んだことがありましたし、A氏についてはアイガモ農法生産者の団体である北海道アイガモ水稲会を通じて親しくさせていただいておりましたので、思わずこの記事に釘付けとなりました。
まずアイガモ農法って何?と思われる方がいらっしゃると思いますので簡単に説明しますと、殺虫剤、除草剤など農薬を一切使わずに、代わりに水鳥であるアイガモにやってもらうというやり方でお米の有機栽培では本州方面などで結構使われている手法となっています。
稲の害虫とヒエなど稲科以外の広葉雑草を好んでを食べ、水かきやくちばしで水田の土ををかき回して根っこを刺激し酸素を供給してくれる実に優れものという利点があるのです。
ただ野生(実際にはアヒルとカモの交配種で固有種とは違う)に近い動物だけにその管理は難しいものがあり、私もその苦労と鳥インフルエンザの流行を機に止めた経緯があります。
しかしA氏はまだ頑張っていたんだと懐かしく思い出しましたが、アイガモの代わりにロボットも使うということでどんな結果が得られたのか尋ねてみようと思っています。
田の除草をロボット(さすがに害虫は食べないです)でやる....なんてすごい時代になったものと思いますが、「アイガモロボット」って何?と皆さんはほとんどわからなでしょう。 これはアイガモ農法のAI(アーティフィシャル インテリジェンス=人工知能)版とでもいいましょうか、とにかく今は日進月歩でその能力が凄まじい勢いで向上していますね。
フロートで水面に浮いた機体の下に泥をかき混ぜる攪拌の装置が付いていて、芽が出て間もない雑草を浮かしたり水を濁らすことで日光を遮りその発育をを抑える効果があるということです。
太陽光発電で動き、GPSで位置情報を入力すればあとは勝手に田の中をずっと動いてくれます。なにせ昔は人力除草が夏場の仕事の中心で、除草剤が出るまで一日中腰を曲げての重労働が続き、それがひびいて、50歳台の若さで腰の曲がった人がたくさんいたものです。
ところで今、同じAIでも生成AIなるものが急激に普及してきましたね。
その代表格がチャットGPTとかいうやつで、問いにこちらでいくつかのキーワードを入力してやると答えが返ってくるという代物です。
ある時、娘のスマホを借りてお米の消費拡大をどのようにしたらいいか?という質問をしたところ、あ~らビックリ、生産者やその団体が日常的に取り組んでいることや今後への展望みたいなことが、それこそキチンとした文章で返ってきたではないですか。
試験やレポートということであればまさに模範解答ともいえるもので便利と言えば便利なのですが、
何かAIもとうとうここまで来たか....と近い将来、人にとって代わるのが現実味を帯びて来たような気がして薄ら寒さを覚えてしまいました。
使い方を間違えてしまうと人にとって取り返しのつかない大変な事態になりそうです。 私のコメッセージは正真正銘チャットGPTは使っていないことを申し添えておきます。
投稿者:高嶋浩一