コメッセージ338号 2024年7月号
「本当にこの度はこんな話をすることになって申し訳ありません.......」となんとも重たい雰囲気の中で居並ぶ地元、北広島消費者協会のお米担当役員さん達の前で話を切り出しました。
これまで平成元年(1989年)より36年にわたり生産、地元の消費者協会会員向けに販売してきたお米「ひろっこ大志」(現在の品種はななつぼし)の作付を生産者の高齢化などの理由で中止することになり、冒頭にあるように役員の方々に事の詳細を説明する場を設けたのです。。
実は私は4年ほど前よりこのお米の生産者3名の組織である北広島市有機農業研究会の会長をしており、近い将来こういう時が来るのではないかと漠然と危惧はしていましたが、実際に直面しもうちょっと先になるかと思っていただけに本当に残念に思っています。
時は40年ほど前、私がJA青年部(農業後継者の若手の組織)の部長をしていた時にこの北広島で消費者協会が設立され、様々な活動が展開されるようになりました。
その事業の一環として日本や地域の農業、食料生産の実情を学ぶ研修会が開かれた際に、その話をして欲しいとの依頼で私が行ってお話しをさせていただいたということがありました。
北広島全部の農地を合わせても町内(当時はまだ町だった)7箇所のゴルフ場の面積より小さいし、後継者もどんどん減っていますよ....言わば北広島は日本の縮図....みたいなことを話した記憶がありますが、当時から皆さん食(農業)に関する問題には強い関心があったのですね。
そうした経緯から有名無実化した食糧管理法から外れて1988年特別栽培米制度が作られた際にいち早く地元の安心、安全なお米を食べたいからCさん、高嶋さん作ってくれない?....との話が持ち上がり制度発足の翌年、地元同士による正真正銘の地産地消、そして全く農薬を使用しない超安全なお米作りが始まったのでした。
そして同時にお米に愛称をつけましょうということで公募した結果、前述の「ひろっこ大志」という名前が決まり、広島の「ひろっこ」とクラーク博士の名言からの「大志」を合わせた地域色を見事に表現しているとても素敵なネーミングだと感嘆したものです。
これらの事が今の当ファーム営農形態の原点になり、化学的な農薬を全く使わないか、もしくは極少量で済ますお米や野菜の生産、そして直売へと進む方向へ舵を切ることに繋がったわけです
ひろっこ大志の生産販売が始まって数年間は研究会の仲間との共同作業で定期的に契約数量を精米、配送を行っていましたが年を重ねるうちに少しずつ栽培のノウハウもでき、さらにグレードをアップさせたオリジナルなお米を作りたいという欲求も徐々に高まってきました。
そこでチャレンジしたのが当時北海道でも数軒しかなかったアイガモ農法(現在は中止)でした。
農薬を使わないお米をもっと増やすにはこの方法だということで1996年に始めたのですが、このお米を販売するにあたって差別化を図るいい方法はないかと考えた時に思いついたのが「ひろっこ大志」からヒントを得たネーミングです。
そうだ!名前をつけよう...で、あれこれ考えた末にふと閃いたのが「田園交響楽」で即、商標登録の申請を済ませ2年後に正式に認可、今ではうちの大看板になっています。 消費者協会との出会いで特別栽培米に取り組み「田園交響楽」を創ったから今があります。
投稿者:高嶋浩一