コメッセージ340号 2024年9月号
「お父さん、もうふらりにお米の在庫がほとんど無くなったから早く作って持ってきて....」と
直売所ふらりの管理、販売担当の家内から催促の電話が掛かってきました。
えっ!...もうないって....そんなばかな....開店前から十分な量を置いておいたはずなのにもうないなんて?......これは先月のお盆明けの出来事なのですが、ふらりの営業を始めた平成19(2007)年から17年このかた、前代未聞のことでした。
で、急いで精米してふらりに5~60kg持って行ったのですが、確かに商品棚には米が数袋あるだけで、しかもまさにお客さんがそのお米を購入しようとしているのです。
とにかく急ぎ補給を済ませ精米所に戻って再び精米機を動かすのですが、こうしたことを数回繰り返してこの日はなんとか乗り切ることができました。
にわかにどうしてこんなことになったのか、来店の常連のお客さんに話を聞くと何やらスーパーの棚からお米が消えて無くなっていると言うんですね。
それこそ6月末で156万㌧の在庫があるから心配ないと農業新聞にも載っていたし、政府や農水省から不足気味だなんて話、これっぽっちもなかったのに。
年間700万㌧ほどの消費ですから月に60万㌧弱あれば足りるわけで、120万㌧あれば8月末までは行ける勘定になり36万㌧の余裕があるはずです。
しかも8月に入ると九州などの早場米地帯のお米がどんどん出てくるはずですから不足するなんてことはあり得ないのが道理ですが、いったいどういうことなのでしょうかね?
私の記憶にある米騒動といえば平成5(1993)年の時ですが全国的な冷害で大凶作になり、前年の備蓄が不足気味なことに合わせて空前の米不足になってしまいました
うちの作柄も収量が半作以下だったのですがお米を買うのに店の前に並んで行列を作り、おまけに緊急輸入したパサパサの外国産長粒種を抱き合わせ販売されてしまい食べられず(食べず)にゴミとして捨てられていたとか、客同士の取り合いによってケンカが起きたりとか当時の飽食日本の醜さが露見した事態でもありました。
爾来31年後に再び深刻さに違いはあれど同じようなことが起きたわけですが、当時と大きく異なる点は今年は全国的に平年作になりそうだということです。
平成5年は近年の猛暑日が当たり前の気候とは真逆でずっと冷涼な天気が続き作況指数も74(平年作で99~101)となりましたが、今年は収穫期を迎えた稲の生育は概ね順調なのです。。
当ファームも毎年新米に切り替わる頃は十分な在庫を残して一般顧客の皆様、そして業務用に供してる皆様に迷惑をかけないように最大限の注意を払っているのですが、今年ばかりは8月に入ってからの南海トラフ地震騒ぎによる買いだめ?...とスーパーの棚から一時的にもお米が消えたことが重なって消費者の不安が増幅し、結果うちにとっても.予想だにしない爆需となってしまったのでしょうが、正直言って嬉しさを感じられるにはほど遠いものがあります。 とうとう先月末からは一家族5kgまでの数量制限を設けて9月収穫の新米につなげようと四苦八苦しましたが、これまでこんなに新米を待ち遠しく思ったことはありません。
投稿者:高嶋浩一