コメッセージ341号 2024年10月号
令和の米騒動顛末、第二段.......です
エー......お米をお買い求めのお客様、どうぞこちらにお並びください.......直売所開店の
時刻が近づくにつれ狭い駐車場は満杯、お客さん達が店の前で今か今かと待っています。
先々月、8月下旬の土曜、日曜の開店前の有様ですが先月のコメッセージにも書いたように、にわかに起こった令和の米騒動の余波がとうとう末端の農家、当ファームの直売所にまで押し寄せて来たのです。
事前に購入が可能かどうかの問い合わせやネット注文の動向である程度の予想をして準備はしたものの、実際の状況を目の当たりにすると本当に大変な事態になってしまったと実感。
ちょうど稲刈り直前の端境期、籾倉はほとんど空っぽ状態で通年供給をしなければならない業務用米を一般客に販売することはできませんので、およその全体の販売数量を決めてそれを小出しにして新米が穫れるまで何としても繋いでいかなければなりません。
明日、明後日の土日はこれぐらい、そして一人5kgまで......という話も次の週には明日、明後日の土日は少し減らして一家族5kgまでとかいう風にだんだんんと厳しくなってきます。
当然お米が完売した段階で来店したお客さんは空っぽの棚を見て残念がるのですが、そこで気を取り直して来週は売るんですか?.....もし売るんだったら予約したいんですが.....とこちらに聞いてくる方もいらっしゃいます。
しかしこちらの返事としては、もちろん来週も販売はいたします......でも申し訳ありませんが予約は受けてはいません.....と、なんともつれないものとなってしまいます。
予約を取ってしまうとあっという間に予定販売数になってしまいますし直売所の販売物はお米だけでは無く秋野菜など他の農産物もありますので、お米と野菜がほどよく棚に並びそれぞれがそこそこに売れてこそお客さんにも良いし私どももやっている意味があるのですが、並んでまでお米を手にされた常連外の方は購入後、嬉しそうに米だけ抱えすぐに帰ってしまうのです。
今、政権を担っている政府自民党の総裁がK氏からI氏へ交替(9月末現在)し新内閣が発足
するようですが、今回の平時に起こったコメ不足、新総理と農水大臣を頂点とする政治家や農水省当局はどのように考え対策を考えているのでしょうかね。
そもそもこんなに並んでまで庶民が購入していることなんて伝わっているのでしょうか?
今は近隣国との紛争があるわけでもなく、全国的に未曾有の気象災害に見舞われたわけでもないのに一般市民がコメを買うのにとんでもない苦労をしているのをわかっているのでしょうか?
農業の問題は他の経済、福祉、外交、軍事、人口、労働、教育.....などと比べるべきものでもありませんけど、私が後を継いで米作りを始めて47年、巨費をを投じて一貫してコメの生産を減らす政策が続いて来た中だったわけで、そのある種の結果が皮肉にもここに来て実現できたのかなと思われなくもないのです......費用対効果がようやく結実した(笑い)......。
長期低米価と国民の米離れがただでさえ少ない若年農業者のコメ生産意欲を削いで来ました。 世界的には評価の上がった日本のコメ(和食)を誰が作り守って行くのでしょう。
投稿者:高嶋浩一