コメッセージ342号 2024年11月号
令和の米騒動顛末、第三段......です。
あの~.....申し訳ありませんがもう満車で車は入れませんしコメの販売量も制限しておりますから......と、とうとう10月末には開店時間間際、お客様へ整理券を渡しながら直売所への入店をお断りしなくてはならない事態に立ち至ってしまいました。
8月末には9月になって新米が穫れたらうちも制限無く売ることができるようになるだろうし、スーパーなどの小売店にも潤沢に並ぶだろうからとタカを括っていたのですが、間もなく11月になろうとしている時期になっても冒頭のような塩梅で、一向に収まる気配がありません。
大勢のお客さんにたくさん買っていただけることはありがたいし、これまでなんとかコメの売り上げを伸ばそうと悪戦苦闘をしてきただけに本来はこうした予期せぬ事態を喜ばなければならないのに、全くの真逆でコメの販売を制限しなければならない状態になってしまったのです。
その理由なのですが他店でのコメの販売価格高騰が挙げられるのではないかと思います。
当ファームでも令和6年産新米から多少の値上げをさせていただきましたが、それでも他の小売店の価格をみると5kgで1,000円以上、10kgで2,000円以上も高くなっています。
ここまでの価格差がつくとは思いもよらなかったのですが、今夏のコメ不足を受けて新米の集荷では米穀業者簡やJAの競争が激化して農家からは玄米1俵60kg当たり23,000~25,000円になっているというのです。
ちなみに一昨年、2022年産の標準的なゆめぴりかの価格は地元JAで農家からの買い取り価格が、なな、なんと14,427円ですから実に10,000円ほども違うのですよ!!!!!!!!!!!......同じコメが66%も値上がりしているのですから当然、卸、精米、運送、小売りなどの適正な利益を上乗せすれば今年11月現在の店頭価格は極めてまっとうと言わざるを得ないのです。
ただ問題なのは今回の上がり方があまりに急激で、日々物価上昇に苦しむ一般消費者の納得、対応できる範囲を超えて簡単には受け入れられないものになってしまったということでしょう。。
前号にも書きましたがコメを減らす方向に農水行政は動き、食の多様化という美辞と人口減少等でコメの余剰感を演出、結果コメ価格の超長期にわたる低迷で農家自体のコメ離れも進みました....ちなみに1986年の18,668円がこれまでの最高値(大冷害の1993年を除く)です!
もう一つ衝撃的な数字を挙げればさらに納得していただけると思いますのでここに示します。
同じく2022年の統計数字ですが水稲経営で1時間当たりの農業所得がたったの10円(日本農業新聞、個人経営部門)だというのです.....北海道の時間当たり最低賃金を1,000円ほどにしよう......とか言っていた時に10円(ちなみに法人経営は296円....それでも十分少ない)ってあり得ますか.....水稲農家はカスミを食って生きて行けってか?....勿論平均値ですから当ファームのように付加価値を付けながらの直売で頑張っている農家もありますが、それは未だほんの少数にとどまっているのが現状でしょう。
今までコメは余りにも安すぎた.....ということを改めて皆さんには認識して欲しいのです。
今回の爆上がりが更なる市民皆様のコメ離れに拍車がかかるのではと心配しています。
投稿者:高嶋浩一