コメッセージ344号 2025年1月号
謹賀新年 令和7(2025)年 元旦
さて年も改まり皆様方におかれましては気持ちも新たに今年の抱負などお考えを巡らしていらっしゃることと思いますが本年、当ファームにも大きな変革の波が来そうな様子ではありますので、以下にそのあらましを記し北海道の一農場の置かれている現状を少しでも皆様に理解していただいて、合わせて令和の米騒動下の日本農業の向かうべき方向を考える一助にしていただければ幸いかなと思います。
実は今年から耕作面積が7haほど増えて作付がやや30ha近くになるということになりました。
これは数年前に亡くなられた叔父の農地を借地として耕作することになり、昨秋正式に市農業委員会農地利用調整会議の承認を受けて本格的に取り組むことになったのです。
当地は生前より健康を損なってからは後継者もいなかったことから長年酪農家に貸して牧草採草地として利用されては来たのですが、その酪農家も経営難から撤退することになりその後を受けてうちが作ることになったというわけです。
うちは現状、水を田に巡らせて作られる耕地はほぼ全て水田として作っていて田んぼに水を入れないで畑を作る、いわゆる転作ということはほぼほぼやっておりませんので、今回の農地を借りるにもまずそこで何を作るか?.....ということが最大の課題として出てきます。
昔はそれこそ水田地帯であれば周りは田んぼばかりですので田んぼを買うか借りたのであればそのまま田んぼを作りお米を生産する......なんてことは当たり前の話で食糧管理法が生きていてコメが食料の基本と位置づけられていたころは規模が大きくなるのに比例して収穫、収入が大きくなる.....すなわち土地を求めて大きくなることが地域一の大農家になるという当時拡大志向が強い農家なら誰でも、どこの農家でも抱いていた夢の実現への第一歩だったわけです。
かくいう私も20~30代の頃はそうした志もあったやに思いますが、今回の規模拡大の話には全て話の発端から決定まで30代の現社長がやってきたことで、すでにもう私の時代ではなく「さぁ、この土地に何を、どうやって、どれだけ作ってやろう!?......」ってさぞ気持ちも前向きになっている事と思いますが、先に述べたとおり生産調整下のコメ作りの時代にあっては一時的?なコメ不足による米価爆上がり状況下であっても簡単にはコメを作れそうにありません。
うちはコメ専業と言えるほど”米”に特化した経営ですので生産から販売までコメ専用の機械や施設も整備しておりますし、工程管理もしっかり作り上げていますが、ここで他の作物が入る事による栽培ノウハウの獲得、作業工程上の新たなリスクに対する備え、新しい機械への投資など懸念される事項がたくさん出てきます。
前号のコメッセージで30代半ばという可能性に満ちた時に新しいことに取り組めた幸せというフレーズがありますが、ちょうど今、まさに現社長がその年代のさ中にあります。
当時私の父にブツブツ一言二言、苦言を呈されたことを思い出しますが、それ以上のことはなく以後は淡々と日々の自分の仕事をこなして私に協力してくれました。 私も70代に入り健康上の不安もあれこれ出てきましたし、いつまでも縁の下の力持ちというわけにもいきませんが足を引っ張ることのないようにだけはしたいと思います。
投稿者:タカシマファーム