コメッセージ346号 2025年3月号
「うひぇ~っ..........5kgで4,000円越してる!!!!!!!!!!....10kgの間違いじゃないよな?...」
思わずスーパーのお米売り場のポップを見て驚きとも、ため息ともとれる吐息が漏れます。
昨年来よりの小売り米価の異常高騰が越年してほぼ半年経った今となっても続いているのです。
ここに来て農水省は価格を下げるべく備蓄米の放出を今月下旬から始めると決めましたがあまりに遅きに失した感があります。
確かに昨夏はお米の端境期に多少需給に窮屈なところもあったので分からんわけでもないのですが、新米は十分に穫れているのでそれが出回るようになれば価格も落ち着くと考えていたようで、事がここまで引きずって国民からの悲鳴にも似た批判が起こってくるとこれはヤバイことになった、放って置くわけにはいかんということになったのでしょう。
私にはこの令和の米騒動が単なる一過性のことで終わるとは到底思われません。
ず~っとお米づくりの農家に生まれ育ち5代目後継者になって生産の中核を担い、今は6代目に経営を委ねているという本当に米づくりを取ったら何も残らないような農家ですが、それ故に米の抱える問題の根っこの部分を皆さんに知っていただけたらよりいいことかな思います。
で、1977年より後を継いだ私ですが高校生頃より現在まで50年以上ずっと減反などの生産調整の政策がとられ、生産過剰にならないようにということでうちもその都度協力してきました。
就農当時、食糧管理法の下での価格(政府買い入れ価格)は17,251円(玄米60kg)でしたが、自主流通米制度のもと法律も食糧・農業・農村基本法に代わり45年後の2022年産価格はJAの買い取り価格で14,427円ですから、値上がりどころか2,824円も値下がりしていることになります....こんなこと日本の米農家だから耐えて来られたのか?!!!!!...我ながら信じられない!
確かに品種改良による収量の増加、良食味米生産におけるプレミアムなど収入増の要素はありましたが生産拡大への意欲を高めるほどの効果はほとんどなかったように思います。
かくしてどんどんと高齢化は進み離農者は増え、同時に転作奨励金による誘導で若年農業者のもうからない米からの心離れが加速し水田作付面積の減少が進行したのです。
ところで今年は国連が定める2回目の国際協同組合年だそうですが、1度目の時は190号(2012年,3月号)で取り上げていますのでどうぞHP上でご覧いただけたらと思います。
この10数年間グローバル化はますます進んでマネーは際限なく膨張し、情報は本当かフェイクか判別容易ならぬまま止まることなしにネットで垂れ流され拡散されるようになってきました。
富める者の半端ないマネーの威力、たとえフェイクでも強く声高に言い続けた者の勝ち、強者が力で弱者を屈服させることが正義、そんな寒々とした世界への警鐘なのだと思いますがウクライナ、ガザの現状を見聞きするにつけ、当の国連の機能不全には甚だもどかしい思いです。 潤沢な地下資源もなく燃料や肥料、家畜のエサを考慮すると20%あるなしの食糧(食料)自給率、そして戦争の放棄、交戦権の否認ということを憲法で謳っている小さな我が国ですが世界中の人々が昨年3,687万人!も訪れ、平和な日本の”食”と”文化”を大いに堪能してくれたようです......このことは日本にとって形を変えた大きな安全保障かもしれません。
投稿者:高嶋浩一