コメッセージ349号 2025年6月号
えっ!、あれ何だ?....縦横が80cm、高さが25cmほどの真っ黒な物体が代かきを終え湛水状態で全く農薬を使わない田んぼを静かに移動しています(弊社のHP、インスタグラム参照)。
と、ほどなくして畦にぶつかるとややしばらく静止して素早く後退したかと思うといきなり180度反転し今度は違った方向へ動き出しました。
飽きもせず眺めているとその動きは全くデタラメでどちらへ動いてゆくのか見当もつきません....これもAIを利用したスマート農業ということかと改めて実感。
そこへ息子がやってきたので「これが今話題のアイガモロボってやつか?」と聞くと「そうだ」という返事で、私もこれまで動画サイトや新聞記事等で若干の知識はあったので彼にいろいろ質問をぶつけてみました。
で、わかったことは図体の割には6kgと軽く、水に浮きながら田の土を何十本かの柔らかなプラスチックの足でかき混ぜることによって雑草の発生の段階から抑えるのと同時に、さらに濁りを発生させることでその光合成をしづらくして成長を阻害するというやり方をとるらしい....ということ、動力は上面の太陽光発電パネルからの電力でまかなうらしく、確かに昼間であれば一日中田んぼの中を動き回っていて全く休んでいる気配もない......極めて働き者?なのだ。
そして息子のスマホには一日に動き回った足跡が田んぼの図にビッシリと記録されて、ほぼムラなく縦横無尽に動き回った様子が分かるようになっているのです。
現代版アイガモもどき農法!!!!!...、2013年まで実際のヒナから育て食肉販売までした正統?アイガモ農法を実践していた私はこの目の前の光景をただただ唖然として眺めているだけでした。
ところで毎日、お米のニュースがマスコミを賑わしていますが昨年からの一連の米騒動の終わりが見えるどころかE農水大臣の舌禍による辞任と、あっ!とびっくりのK氏へ交替就任まで重なって全国的にほぼ田植えも終わったこの時期に益々不透明になってきた感があります。
ここに来て日本の抱えている食料安保の脆弱性に光が当たって国民全てが等しくこの事に気づき、改めて農業のことを真剣に考えるきっかけになってくれればいいのですが、今のところ関心は随意契約による備蓄米の放出により高止まりした米価がどこまで下がるか、いつどこで手に入るようになるのか....そんなことばかりになっています。
新任のK農水相は2千円台で備蓄米を消費者に届けられるようにすると大胆かつ人気とり的な発言をして、実際大規模な卸しから町の小さなスーパーや米穀店にまで買い取りが出来るような仕組みをとりあえずは作ったようですが、これがどこまで有効となって国民の期待に応えられるかどうか......私達生産者サイドからすればまた5kg、2000円という価格だけが先行して一般市民の頭にインプットされたんでは本当にたまったもんではありません。
アイガモロボット君の働きの結果は1、2ヶ月もすればわかりますのでまた皆さんにはご報告したいと思いますが、昨年まで何回も入れ替わり立ち替わり大勢の人がきて賑やかにそして楽しそうに草取りをしていた光景は今年は見られなくなるのでしょうか.........? そして若くスマートさが売りで人気のあるK農相の取り組みの結果はどうなるでしょう。
投稿者:高嶋浩一