コメッセージ325号 2023年6月号
「え~っ、おいおいまた明日も違う人が来るのか....しかも未経験者だってか?.....」
田植えは先月、5月28日無事終了しましたが田植え期間中、「明日は○○さんと××という人が苗取りに来るから」と社長(息子)に言われ、思わず「ちゃんとできるかなぁ」と数年前から少しずつ使い始めた超短期のアルバイト希望者の資質が気になって仕方がありません。
私が経営主で頑張っていたころは田植え期間中の人手の確保は本当に大変で、どこかに手伝ってくれそうな人はいないか人探しが重要な仕事となっていました。
しかし田植え前の社長の様子を見ている限り人探しにさほど
苦労しているようには見えません。
「父さん、誰か知っている人はいないか....」などと相談してくれそうでもありません。
思わず「おい、田植えの時の人手は間に合っているのか?」と聞くと「いやぁ、大丈夫だぁ、心配しなくていいよ...」という気楽そうな返事。
よくよく聞いてみるとなにやらスマホで day warkとかのいくつかある求人アプリで人を見つけてるらしく、たった一日だけの、いや半日、数時間でも働きたい人がいて、こちらの求人に応募してくるとのこと、札幌圏という人口の多い地域特性もあるからかもしれません。
「はぁーっ、便利になったものだなぁ~」と返すのがやっとの私ですが、こうしたマッチングアプリの出現、利用はまさに隔世の感があります。
で、冒頭の私の心配、未経験者がどれほどきつい不慣れな仕事をやってくれるものかということになってくるわけですが9日間、苗取りの現場では男女6人ほど来た中で2人を除いてあとは全員うちの農場に来るのは初めてという人ばかりでその2人もせいぜい2,3度目ぐらいです。
でも実際皆さん仕事についてみるとそうした心配は杞憂に過ぎなかったことがわかりました。
20代から50代まで男女の区別なくこちらの指示に従ってテキパキと働いてくれます。
これはお互い雇用される側はちゃんとやらなければ次回は応募してもハネられる、求人側は適正な労働環境を用意し相応のアルバイト代を支払わなければ募集しても応募してくれない......という暗黙の契約が成立しているからなのでしょう。
5月28日付けの北海道新聞の一面に『農家の後継 親族以外定着』という記事がありました。
高齢になり後継者もなく離農する農家が後を絶たない中で、危機感を抱いたJAや地方自治体が農家と農業をやりたい若者(新規就農者)の間を取り持ち....まさにマッチング、ここ北海道では実にそれが事業継承の2、3割を占め全国一の件数でここ数年増加傾向にあるといいます。
委譲する側は長年慣れ親しみ苦労して築き上げた農地や機械、施設などの経営資源を前述の第三者機関仲介で相応の価格で斡旋してもらい、新規参入者は同じく土地や住居、建物、施設、機械などの初期投資を低く抑えられ、場合によってはその地に合った栽培技術の伝授までしてもらえる......などの双方にメリットがあるのです。
全てがうまくいくわけではありませんが day wark同様期待が持てる取り組みではあります。 しかし同じマッチングでも度々ニュースになる出会い系サイトでの売買春、このところ特にひどい闇バイト系の強盗の頻発には何事も表裏一体とはいうものの実に困ったものです。
投稿者:高嶋浩一