コメッセージ No.62(2001年7月号)
「1羽、2羽、3羽...10羽、1羽、2羽、3羽....10羽、..と...えーと全部で96羽、ヒナで4羽死んでしまったから数はピッタリだ。」
5月30日、100羽大阪より取り寄せたアイガモのヒナのうち、6月23日に息子の良平に手伝ってもらって田に放すことができたのは96羽でした。田に放すのが少し遅れたが、さて最後まで残るのは何羽になるだろうか。
これからきつねや野生のミンク、カラスやトンビなどの外敵にやられる機会が多くなるので、心配の種はつきません。
アイガモ農法を始めて今年で6年目となり要領も心得てきたためか、今回は息子と二人での捕鳥となったが、たいしたトラブルもなく1時間ほどで終えることができました。以前は家内や他の子供達、そして両親までも総動員しての一大イベントみたいなとこがあったのですが、近年は作業が一段落したころに来て父など「あぁ今日放したのか」っていうようなあんばいです。でも今年、本当は家内とやるはずのところを息子の良平とやったのには理由があるのです。
それはこの日は下の娘のテニスの試合があって、早朝より応援の家内と二人して千歳に行ってしまい不在だったからです。その試合については数週間前より「お父さんも応援に行く?」と家内から幾度となく言われており、「うーん、行きたいけどな....」うにゃむにゃーとあまり要領の得ない返事を繰り返していた次第。何やら大事な試合らしく、そこで勝てば今秋、滋賀県で行われる全国大会に出場できるらしい....いつのまにかそんなに腕を上げたのだろうか。そういえばこの1年以上、練習も見に行ってなかったけか?しかしカモ田の段取りに3日ほど費やしているうちにタイミング悪くこの日になってしまって、やっぱり行けなかった。
試合の結果は残念ながら負けてしまって全国大会の切符を手にすることはできなかったが、本人はやる気満々でこれからも頑張りそうである。上の娘はバドミントンクラブ、息子は野球部と私に似ない運動部志向で毎日遅くに帰宅するが、はてさてどのくらいのレベルなのか、どんな練習をしているのか、どんな友達がいるのか、私にはさっぱり見当もつかない。
おっと、それよりもなによりも今まで娘とバドミントンを一回もやったことがなかった.....それから息子とはキャッチボールをこれまた一回もしたことがない.....今頃になってうーむ、これはちょっとまずいんじゃないか?....と気づいてしまった。そしてそうした心の揺れを知ってか知らずか家内は「父さん、子供達が大きくなったときに父さんとの良い思い出なんかきっとひとつもないと思うよ!」と、こちらが思わずぞっとするようなことをさらりと言ってのける。
こんなに働きづめに働いて何もかまってやれない父親というものが子供達にいったいどれだけの魅力があるだろうか? ここまで頑張って築き上げてきた事業、経営とどちらかというと妻まかせ、家内を介しての家族との絆、本当にここでよくよく考えないと....あとで後悔するはめになるかもしれない。
というような重い命題を受けてなんとかもう少しのゆとり、それは体力的、時間的なことでのゆとり(経済的な部分はあえてここでは出さない)なのだけれども、どうしたら得られるのだろうか。
全体的な事業規模の縮小?、直売などを減らす?....のは一番楽で安易な方法だけれども、やっぱり後ろ向きの姿勢で、これこそあとで後悔しそうである。あとはある程度の仕事を委ねられる優秀な人材が得られればいいのだけれども今の経営形態では一時的なアルバイト程度の確保が精一杯といったところでしょう。この春に実習生を求むみたいなことをホームページやコメッセージにも載せてはみたけれど、これはといった反応はなく、水田農家志向の青年はいないんだろうなぁ。
それで何とか安定した雇用を実現し、先に挙げた問題を解消する第一歩として「法人」経営にしてみようと、その環境の地均しをはじめるつもりです。できれば来年早々の立ち上げをと思っていますが、多方面の方々のお知恵をいただきながら実現にこぎつけるつもりです。コメッセージの読者の皆さん、何か良いアドバイスがあればいただきたいので宜しくお願いします。
ところで話は変わりますが、人が変わるとこうも何もかもが変わってしまうことがあるのでしょうか.....。 小泉首相のことですが、森前首相の時のあの惨憺たる自民党が東京都議選で大勝ですからビックリですよね。
構造改革を進めて日本再生だ!と言っても、そのキャラクター故か、目前のいばらの道は目に入らずに、その先の明るい未来を連想してしまう。明るい未来が本当にあればいいのだが....特に農業の部分では農産物価格の低迷、高齢化などガッチリとしたそれこそ構造的問題で立ち行かなくなってえらく長い時が経っているので、どんな改革がなされるんだかわかりませんが、明るい未来にたどりつく前にみんなこけてしまわないか心配でもあります。
まぁそんなこととは関係なく、好天のおかげで稲の成長はまずまず順調にきております。
投稿者:taka-farm