コメッセージ No.74
その口調には明らかに「無農薬だとかアイガモ農法にこだわるにも、もうちょっと考えてよね」というかなり批判的な要素がありあり。「う~ん...そんじゃアイガモ君たちに出張でもしてもらうかぁ」と急遽となりのアイガモ農法田からカモを入れることにする。
電気牧柵を設置したり、鳥よけのテングスを張ったりして半日ほどで完了。3反(900坪)ほどの田に149羽放せば3日ほどもすればかなりの雑草を食べてくれるだろう...という読みなのだが、このコメッセージを書いている現在はまだ1日目でさてどんな結果になることやら。
しかし問題のこの田は平成2年よりずっと除草剤などの農薬を使わずに作ってきた田で、いわば現在のタカシマファームの原点とでもいうべきものなのである。そしてたかだか3反とはいえよく13年も無農薬を続けてきたものと思う。おかげで冒頭の言葉がでるようなヒエ、オモダカ、ヘラオモダカ、ホタルイ、ミズアオイとかいった雑草の宝庫となっているのだが、毎年動力除草機を2回かけた後、腰を曲げての手取り除草に3~4日かけていたのである。
経済的にみるとちょっと合わないようにも思うし、なにより腰の痛みに耐えなければならない辛さがあって、これはやったことのある者にしか理解できないでしょう。
今時、腰を曲げての一日いっぱいの草取りなんて本当にごく一部の有機栽培農家ぐらいしかやっていないし、まず田んぼで草取りをしている人の姿を見かけることすらほとんどなくなってしまった。
今では除草剤を2回程度散布してやればまずほとんど草取りをしないでもいいぐらいに田の草は稲だけを残して消えてしまう。
現代化学の力は本当にすごい!...そしてかくいう私も低農薬栽培田ではその恩恵に浴しているのですが、部分的とはいえ手取り除草をやっているが故につくづくそのありがたさがわかります。
加えて除草剤のなかった昔のことを思うとき、先人たちはいったいどれほどの苦労をしてお米を作ってきたことかと考えさせられます。
こうして書いてくると草取りのたいへんさばかりが強調されそうですが、辛い、汚い、とかいったマイナス面ばかりでなく私は少し違った思いも持っていますので、ここに記したいと思います.....
草取りほど「無」の仕事もないような気がする.....。
雑草を取るという行為は終わりがありそうで.....ないのですよね。ひと通り取り終わったかなと思ったら、最初に取ったところはまたけっこう草が生えてきていて、正直いくばかりかの空しさを感じることもあります。 しかし「地」に目線を置きつつ「手」は休まず草をつまんでいるという動きは変な言い回しかもしれませんが、何となく「心」に「空(から)の充足感」を与えてくれます。
頭ではあれこれ考えていて手や指も休んでいるわけじゃないのだけれども不思議と心はからっぽ....結局頭もなんとなくからっぽ....で、ふと我にかえるといつのまにか「無心」で草をとっていたことに気づくのです。 あまり上手な表現ができなくて申し訳ありませんが「大地とからだ」はやっぱりふっついているんだろうなぁ~......と実感するのです。 と、ここで「私、買い物にいくからあとは父さんやってネ」とかぁちゃんはさっさと田から上がって行ってしまった。 あぁ、でも全く農家の経験の無かった妻がいささか辛い仕事の草取りをしてくれる...本当にありがたいなと思う。 話は変わって今年の作付品種ですが「ほしのゆめ」に代えて新品種の「ほしたろう」と「ななつぼし」に致しました。 両品種ともほしのゆめと同等かそれ以上の食味の良さと病気に対する抵抗性、収量性などを持っており期待していただきたいと思います。 また「ゆきひかり」「きらら397」「はくちょうもち」は従来通り作付けしています。 それとワールドカップサッカー、ブラジルの優勝で終わってしまいましたね。何か楽しみが無くなったような気がしますが皆さんはいかがですか。
投稿者:taka-farm