コメッセージ No.77
7,8月の天気があまりに悪かったために、9月も同じような気候だったらたいへんなことになるぞといくらか腹をくくっていただけに、たしかに100%満足いく収穫とは言えなくとも刈り取りができることは本当にありがたく、すばらしいことです。
先月号で青刈りのことを書いたのですが、需給のバランスとか経済とか人間の創造した理屈で動くことと違って天地の創造した自然の恵みに一喜一憂しつつその果実を得んがため真正面から取り組むことは、人の本来的な欲求のなせる行動にほかならないのです。ですからそれは大きな喜びになるのは当然でしょう。
得られるものの多少はあっても、努力してきたことが報われ、新米を待ってくれている皆さんの期待に何んとか応えることができそうだと確信できたとき、さらにその喜びは倍加します。
こんなふうにして収穫の時期になってくると、土ぼこりにまみれての田畑の耕起、汗まみれになっての雑草刈り、カッパを着ての雨中の田の草取りなど辛かったことはほとんど脳裏の中から消えてしまいます。コンバインの操作レバーを握りながら思わずにやにや....、いつしか頭の中は、ああこの田んぼはヒエがちょっと多いなとか、オモダカ(雑草の名)がひどいから来年は除草機をいれなきゃとか、この田は全体に出来が悪いから肥料を余計にやった方がいいなとか、この田のここら辺は高いからちょっと土を削ってやらないとダメだとか、もう来年のことにいっているのです。
でも、でもですよ....まぁ.....「農家の反省」とは良くしたもので、こうした反省も来春には10のうち2つ3つ覚えていればいいほうで実際、改善されるのは良くて1つ....へたをするとすべて何もできずに終わってしまう.....というよりやりたくてもやれない、やる暇がない?....まぁまた来年があるさ、といったあんばいで「農家の来年」という農家同士で半ば自嘲気味に言う言葉どおりになってしまうのです。あぁ、でもこれはあくまでも私個人のことでほかの農家さんがみんなこうとはかぎりませんから、後になってしまいましたがとりあえずおことわりしておきましょう。
ところで話は変わってアイガモ君たちのことですが、今年は10月1日現在141羽が放し飼いのいわゆる地鶏というやつで元気に育っています。オスは羽が生え替わってきてキレイに変身中です。でももうあと2ヶ月あまりの命となってしまいました。
11月下旬にはカモ肉として1羽2,200円で販売いたしますので、ご入り用の方はお申し込みください。
それからいよいよ今月から14年産、新米の供給が始まります。品種、品目、価格等パンフレットなどに詳しく載せてありますので参考にしてください。ただ、まだ収穫の済んでいないものもあり(中旬までにはすべて終了の予定)注文に応じられない場合もありますので、そのときはどうぞご了解ください。
ここで今年ほしのゆめに代えて新しく作付けした「ほしたろう」と「ななつぼし」について若干の説明をいたします。 「ほしたろう」は「ほしのゆめ」を母、「あきほ(現在北海道で作付け中の早稲品種)」を父として生まれたもので母親のおいしさと父親の早熟さを受け継いでいます。
病気に対する抵抗性はほしのゆめよりも強いため、5年前のいもち病発生の苦い経験からほしのゆめに代えることにしたのです。
「ななつぼし」は東北地方で栽培されている「ひとめぼれ」、そして前出の「あきほ」を先祖に持っており、ほしのゆめ以上の良食味が期待されます。
ただ作りづらさもほしのゆめ以上だなぁという感触をこの夏の栽培期間に持ちました。そしてこのコメッセージをしたためている今、まだ食べていませんので本当に美味しく仕上がっているかどうか.....心配でもあります。
前述のように一歩間違うと、平成5年以来の大冷害もあり得た危機的な年だっただけに、出来のあんばいについては皆さんのベロ(舌)メーターの判断に委ねましょう。
投稿者:taka-farm