コメッセージ No.89
悪い悪いとは言いつつも昨年は9月23日から刈り始めているのに、今年はさら に遅れて籾かさはないし不稔は多いは未熟は多いは....さらにさらに悪い結果となってしまいました。
そしてあちらこちらの地域の作況調査を聞いてその様子、内容がわかってきていましたから、益々やっぱりそうなんだナァと自分のこととして納得した次第です。
こうした不作の年には共済金の支払いがなされ、農家の所得の目減り分を補う役目を果たすわけですが、米の場合の仕組みを簡単に書きたいと思います。
一定の面積(たしか50a)以上の作付けをしている農家は当然加入(実質強制加入 だが何故かそう言わない)で、自分のもらいたい補償の程度に合わせて何段階か ある掛金から選択して掛金を払います。
例えばA農家は最高の補償額を選択したとすると、一番高い設定の掛金をその面積 分だけ払うわけです。
ちなみに当ファームでは掛金が873,584円でその内、国庫などからの補助を差し引いた分の436,792円が実質の負担掛金となります。
そしてまずあり得ないはなしですが、万一収穫がゼロのときは当然満額補償となりその金額は17,676,748円となります。
ただ満額というのは100%ではなく90%、すなわち最初から1割足切りの金額です。
あと賦課金を10aあたり700円で作付け面積2,011a分の140,770円と組合員均等割 3,000円をプラスして共済組合へ払いますので、年間の負担総額は 436,792+140,770+3,000=580,562円となります。
58万円ぐらいの負担で1,760万円の補償?....なにか分がいいようにも見えま すが現在年間粗収益3,000万円ほどで、それでまぁなんとか会社を維持している状 況ですので、1,760万ではえらい大赤字となってしまいます。
それと例えば10aあたり半作の4俵(240kg)穫れたとするとその分は当然補償の対象からはずれますが、不作の年に穫れた米の品質はやはり例年からみると相当落ちますので、価格もさがります(逆にまれに米不足で高騰するときもありますが…)。
ということは所得も落ちるということに即つながるということになります。
ちょっと数字が多く入ったり、皆さんには聞き慣れない意味不明の言葉も出たり で、難しいかと思いますが、要は共済金をもらうような年はどう転んでもいいことはない.....ということでしょうか。
安定供給のこと、今年の帳尻のこと、コンバインに乗りながら頭の痛~い日々が これからしばらく続きます。
話は替わって食農教育のことになりますが、先日市内の小学校と中学校に出向 いて子供達にお米や、農業の話をする機会がありました。
その時に普段大人同士の会話ではなにげなく、そしてなんの問題もなく使ってい る言葉でも、子供達にはほとんど理解されていないことがあるということがわかって愕然としてしまいました。
例えば「地場産(じばさん)」という言葉についてどういう意味かわかっている 中学生がほとんどいない....ということ....私たち農業者はよく地場産 の農産物をもっと消費してください、使ってください....「新鮮」「安心、 安全」「地域振興」などをキーワードにして訴えかけますが、今までどこを向いていたのでしょうか?
一般消費者、行政、地域の商工業者....ばかりでなく次代を担う子供達にきちんとした「食」の大切さを受け止めてもらい、そこから「農」とのつながりへ 思いが向かってくれればと感じたところです。
足下から、地道にコツコツと今からでも取り組まなくてはなりませんね
投稿者:taka-farm