コメッセージ 114号
この間、豊凶の波にもまれての一喜一憂があり、年を追って下がり続ける米価への憤りとあきらめがあり、新しく農地を求めた時には早くその土地に慣れ自分のものとしなくてはという焦りがあり、さらに彼の地の人々とは新たに和みを培わなければならないと心を砕く日々もありました。
父母は幸いにも健在で相変わらず屋敷周り、庭先、自家菜園などの手入れにコツコツといそしむことに時を費やしては訪れてくれる方々に癒しの空間を提供しつづけています。
この10年でもっとも変わったのは子供達と家内・・・・・でしょうか。
子供達はいつのまにか大人?になりかかって自己主張の権化みたいなもので、まさに難しい年頃のまっただ中で明日はどっちに転ぶかわからない・・・といった風。
家内は農家の「嫁さん」から「かみさん」に見事に変身。
そして私はといえば前述のごとくもがき苦しみながらも、少しずつ成長できたかなといった10年であったかと思います。
自分なりにそうした実感を持つに至ることができたことは本当に嬉しいことで、「田園交響楽」とこれをお求めいただいた皆様には本当に感謝の念でいっぱいです。
そしてこの10年、私や家族にさしたる健康上の問題やこれといった事故もなく無事にやってこれたということが経営にどれだけプラスになったことか・・・・・この点からも家族のみんなには心からお礼を言いたい気持ちです。
これから次の10年、時代はどう変わってゆくのか、家族はどう変わってゆくのか、そしてお客様はどう変わってゆくのか、そして自分はどう変わっていったらよいのか?あるいは変わるべきでないのか・・・・いずれにしても様々な時と場面でこれからも皆様方にお世話になりながらやっていくことになりますので、さらなるご指導、ご鞭撻、そしてお米のご購入をお願いするところです。
と、お願いしたところで話は替わりますが、お米を取り巻く今の状況は日々のニュースでご存知かと思います。
「どん底」、「八方ふさがり」・・・・・全体の消費が減ってきている中、減反で帳尻をあわせ価格の維持をはかろうとしたものの、価格形成を市場原理にゆだねる制度ができてからはその市場から徐々に北海道のお米はいらないよと言われてるに等しい位置に追いやられてしまいました・・・・・そして今年の豊作でとうとう農家の手取りで一俵(玄米60kg)一万円を割り込むだろうという事態となっているのです。
昭和60年ごろ最高値となって18,500円ぐらいだったかと思いますが、それをピークに不作の年を除いて一貫して下がり続け、とうとう10,000円割れです。
じつにこの20年で半額近くまで下がったことになります。
単位面積当たり収穫量はさほど増えてはいませんし、資材費や農機具代、雇用労賃は確実に値上がりしています。 今までやってこられたことが不思議なくらいですが、もしサラリーマンで収入が半分しかないとしたらどうでしょうか?
ストライキで賃上げ要求・・・・それこそあちこちゼネストで社会は大混乱に陥っているのじゃないでしょうか。
大部分の米作農家の現状は悲しいほどに形を変えた「生かさず殺さず」のなかにあります。
来年はみんなどうするのだろう・・・・JAには営農計画書というのを提出し、経営の収支の査定を受け合格しなくては資金の供給を受けられません。不合格=即離農勧告の厳しい現実が目前にせまっています。
投稿者:taka-farm