コメッセージ 134号 2007年 07月号
お米の注文があって配達に行った先で北広島でも一番の老舗の米穀店が7月を待たずに店をたたむと聞いて思わず絶句です。
それまでY商店から買い求めていたとのことでしたが、ゆきひかりというなかなか手に入らない米だけに当ファームに声をかけてくれたようです。
私としては新しく顧客が増えることは喜ばしいことなのですが、この話を聞いてすぐ何ともいえず・・・・こんなことでいいのかな~、なんか世の中違うんじゃないか・・・・と妙に複雑な心境になったことを思い出します。
このお店は私が生まれる前からあって70数年の歴史を積み重ねてきたとのことですが、今後の展望に明るい見通しが立たないのでしょうか、やめられる時にやめてしまおうというたいへんな決断を下したようです。
つい1年ちょっと前には車で1~2分のところに大きなスーパーが開店するし、歩いて1~2分のところには生協もあるといった立地で、これら大手のスーパーはお米を客寄せの目玉商品として安売りを日常的に行っていて価格の面では全く太刀打ちできません。
そしてコメッセージ前号でも触れましたが米よりもパンの時代となって"米"そのものへのこだわりよりも"米の価格"へのこだわりのお客さんが相対的に多数を占めるようになってきたこともあるでしょう。
それから私たちのような農家も規制緩和と経営苦から直売に乗り出す者が続出し、現在では米流通の2~3割を占めているのではと言われるほどです。
これでは町のお米屋さんはたまったものではありませんよね。
どこぞの食肉会社のように混ぜもののまがい物を作って・・・・挙げ句の果ては安物を求める消費者が悪いなんて居直ってみたくもなろうというものでしょう。
で、そんな中で実は当ファームでは8月末か9月の初めにでも直売店をオープンすべくただいま準備中です。
一方で老舗がやめ、一方で新規の参入がある。
いつの時代もこうしたことのくりかえしのなかで動いてきたのかもしれません。
こだわりのお米を主体に、季節の野菜類、若干の加工品を置いて皆様に繰り返しご利用いただけるようなお店にしたいとは思っています・・・・が100%の確信を持っているわけではありません。
分づき米のできるミニ精米器を置いてお客様の米への多様なニーズに応えたい。
新鮮さと完熟・・・・野菜や果物はそれぞれの食べ頃、すなわち"旬"を提供したい。
安心、安全・・・・を言うのはもう当たり前のことですから使用肥料、農薬などの情報開示を行う。
直売所からの眺めはちょっとした高みから足下の田畑や牧草地、やや遠くに北広島の街並み、そして遙か遠くの山並みと奥行きのある風景が見られ、特に晴れた日の夕焼けなんか最高!・・・・時の経つのを忘れてゆっくり・・・・・・・・・・・・・・・できるそんな直売所。
「夢」?・・・・そんな夢みたいなこと言っとってどうするのと思われる向きの方もいらっしゃるでしょうが、ま、なかにはそういう直売所もあってもいいぐらいの気持ちで事に臨んでいこうと思いますので、どうか宜しくお願いいたします。
しかしそれにしても今回この直売所の設置許可を北海道知事より受けるにあたっては本当にたいへんな思いと労力、そしてお金がかかってしまいました。
グリーンツーリズム法による規制緩和の大号令のもと農業分野でもわりと簡単にあたかもいろいろな可能性にチャレンジできるようになったと感じられますが、ところがどっこい実際はそんなに甘いものではなかったということなのです。
ことについては紙面もありませんから次回以降に譲ることとします。
投稿者:taka-farm