コメッセージ 144号 2008年 05月号
おい、おい、おい、冗談じゃないぞと思いつつ話を聞くとお互い物損だけで人身事故ではないとのこと、警察にも届けたとのことであとは保険会社に連絡して処理を依頼しなければならないという。
まずはほっと一安心するが、免許を取って一年ちょっと・・・・慣れてきたころがやっぱり一番怖い。
免許とりたてのころは息子の運転で隣に座っていて、こいつはずいぶん安全運転だなと感心していたものだったのだが近頃はどうも運転が荒っぽくなってきたなと思っていた矢先の出来事だったのです。
マフラーの形やタイヤのホイール、オーディオセットがいつのまにか変わっていて、私たち夫婦の車として使っていたときとは趣が違って何かチャラチャラした雰囲気になっています。
通学に新しく車を買い与えることも考えたのですが、事業用の軽の配達車や軽トラック、ダンプトラックなど車検をとっている車が今回事故を起こした唯一の小型乗用車も含めて6台もあることからこれ以上車を持つことをやめ、息子には私たち夫婦の車をあてがうことにしたのです。
私たちは普段は軽の配送車で用足しをしていて、乗用車を使うことは最近本当に希になっていました。
私はこの30年近く、違反で警察のお世話になったこともなくもちろんゴールド免許となっているわけですが・・・・そういえば一度更新を忘れて短期間無免許になったことがあったっけ・・・・若いときに追突で人身事故もやったし、スピード違反で切符を切られたこともあったことを今回の息子の事故を機に思い出しました。
そんなことを考えるとガンガンと息子のことを叱るのもちょっと及び腰となってしまいかねないわけですが、ことはひとつ間違うと人命にもかかわることだけにそうも言ってられません。
やはり(親の目から見て)日頃からの浮つき気味の日常生活を少なからず反省してもらわなければならないでしょう。
ところで先日、「いのちの食べ方」という映画を観てきました。
この映画は一切のナレーションとか台詞とかがなく、ひたすら超近代化、超合理化された現代農業、畜産、漁業などの生産、加工の現場を映していきます。
オートメーション化され土というものがないハウス内での野菜栽培・・・・肥料は液肥で点滴、農薬は無人の機械、もしくは完全防備の人間の撒布・・・・何か無菌室で管をたくさんつけられムリくり生かされている患者を連想させる。
何百万羽?という単位で飼育されるブロイラや採卵鶏・・・・生まれたばかりのヒナがベルトコンベアで隙間無く流れ、異常個体は容赦なく選別淘汰・・・・いよいよ肉になるときは巨大な掃除機みたいな機械でまさにかき集めるという感じ・・・・自動的に送られた先では首を切られ、羽を抜かれ・・・・部位ごとにわけられ箱詰め。
命を扱っているという感じは微塵もありません。
そんな極めて"無機質"様な食べ物の生産、加工の"現場"が延々と続くのです。
私たちは今、とりあえず食うには困らない超恵まれた時代、過去の歴史を辿ってみても全く希有の時代を生きています。
しかしそれは前述の"現場"のおかげ・・・・"いのち"を育み、感謝していただくということとはほど遠い生産の仕組みから得られているのが大部分となっています。
車は壊れれば部品交換して修理すればいいし、ダメになれば買い換えればいい。
しかし"いのち"はそれっきり・・・・息子には"農"の道を選ぶ意志があるのであれば少しはそのことに思いを至らしめて欲しいと願うものです。
投稿者:taka-farm