コメッセージ 155号 2009年 04月号
「あの~・・・・新宿駅の南口はどう行ったらいいのですか?」と人で人でごった返す街角に立つガードマンに尋ね、教えられた方へ行くも、すぐにあれぇ?・・・違うなってなぐあいで、今度はたまたま見つけた交番でおまわりさんに聞きます。
そこで地図を見ながら「あなたの現在地はここですから、ここをこう行ってこの角を右に曲がって、で、ガード下を通って突き当たりを左へ・・・・・」・・・・はぁ、なんとなく方向感覚をつかんで言われた通りに行ったつもりがどうも違う方向に行ってるらしい。 そうこうするうち運良く再び違う交番を見つけておまわりさんに尋ねると、意外と目的のホテルは近く歩いて7~8分ぐらいの距離である。
たぶん道のわかっている人であれば駅から15分もかからないはずだが、地下鉄の一番深い所からぐるぐると回りつつエスカレーターに乗って地上に出て来たため、昨日とは反対の出口に出てきたのがわからなかったらしい。
結局ホテルにたどり着くのに50分以上もかかってしまった。
ケータイのGPSもある時代だけれども、そういった文明の利器にはとんと疎い正真正銘のアナログ人間を自認する私ではありましたが、いくら東京とはいえこの年になって道に迷うとは思いもよりませんでした。
実は今回の東京行きは娘の就職の関係で、新宿区内のアパートに住むことになり家財家具の調達やら部屋の掃除、整理などしなければならないということで私と妻と当の娘の三人で行くことになったのでした。
部屋は1Kで狭く私はホテルに泊まることにしたのが前記の顛末の原因なのですが、私が行っても掃除やら炊事、洗濯などの家事全般にわたる知識などあるはずもなく、私に課せられた役目は、高いところの拭き掃除と洗濯機の据え付け、そして買い物の荷物持ちぐらいなものです。
ただやはり若い女性の一人暮らしということでアパートとその周辺の環境や通勤の手段、時間、駅の様子などがどうなっているのかぐらいは、やっぱりこの目で確かめたかったというのが本当のところでもあります。
そういう意味ではとりあえず日本のど真ん中で、そこらじゅう人だらけ、24時間眠らない街「新宿」というのはなるほどわかったのですが、娘の暮らすところは割と閑静な住宅街の一角、住環境はよさそうなので父親としてはまずは一安心した次第です。
ところで、今回の旅では人、物、金、情報をどん欲にむさぼりつづける東京のエネルギーいうものをたった2泊3日のあいだではありましたが、夜の新宿駅の圧倒的な雑踏の中で感じることができたようにも思います。
360度、前後、左右、上下、地下、地上どこもかしこもビルとアスファルト・・・・コンクリートに囲まれて土の見えるところなんてほとんどありません。
狭い空間を極限まで高密度に利用して破壊と再生を繰り返すことによって、富(金)を生み出す、正に人の作り出した究極の文明・・・・超巨大都市。
でもこの巨大都市の生み出す「富」というのはなんなんだろう?
忙しく行き交う人々の様子を観ながら、一人当たりの所得は日本一の高額だって言うけれどみんなどんな仕事をして食っているのだろう?・・・・そんなことを思いながら固い道を歩き続けているうち、足のスネの方の筋肉は痛くなってくるし、あまりの人の多さで気持ちの上でも疲れてしまった。
以前のコメッセージで"人は都市を造り、神は田園を創った"と書きました。
未曾有の経済危機ということが少しずつ現実味を帯びてきた今、都市をよりどころとした価値感だけで人は元氣になって乗り切ることができるだろうか。
東京に一人残り、社会という嵐のなかに旅立った娘の心に"田園"は確かにあると思う。
きつい時はどうか生まれ育った"地"に思いを馳せ頑張ってほしい・・・・。
◎直売所ふらりは6月5日(金)よりオープンします◎
投稿者:taka-farm