コメッセージ 158号 2009年 07月号
再び、いーち、にー・・・・と数えて20羽を一箱に入れます。
今日はいよいよカモ君達を田に放す日で、これまでの暖房付きのビニールハウスで3食たらふく食べられるヒナの飼育場から引っ越ししなくてはなりません。
で、最終的に数えると今年は178羽でのスタートとなりました。
箱に入ったカモ君達を軽トラに積んで300mほど離れた田んぼの一角に設けたベースキャンプに向かいます。
このベースキャンプは見るからにちゃっちいものですが、これからいよいよ外敵の脅威にさらされるなかで大事な砦となる場所だけに、結構様々な工夫がしてあります。
利口なキツネやカラス、はすっかい野生のミンクたちとの正に知恵くらべといったところでしょうか、とにかく見かけはちゃっちくても理にかなってればなんとか防ぐことができると思っています。
それでもそのベースキャンプづくりには2日ほど要しましたし、電気牧柵や鳥よけ用テグスの敷設、牧柵下の雑草とりを含めると延べ4日ほどにもなります。
こうしてこしらえた"砦"ですが、今までの13年間で砦本体が破られて襲われたことは一度も無かったのですから、この点だけで見れば私の完勝!?でしょう。
ただ、今年のカモ君達はこちらのそうした苦労を知ってか知らずか、暖かな日差しのもとのんびりと"砦"のなかでお昼寝タイムが多いような気がしています。
そして人が近づくたびにピーピー鳴いてはエサを欲しがり、さっぱり外(田)に出ていって害虫やら雑草を食べている風ではありません。
少し甘やかさないで働くようにし向けなければなりませんね・・・・これも外敵との戦い同様に工夫が必要で"頭は使いよう"のところです。
ところで6月は前半から中盤にかけて本当に天気が悪くて心配なところでした。
田植えが終わってすぐにエダマメやらとうきびの移植、種まきをするのですが、10日ぐらいの間隔をあけて2番手、3番手と順次、作業を進めなくてはなりません。
しかし今年はそれができず、時期的には2番手がなくなり3番手4番手みたいな格好になってしまいました。
夏から秋にかけての天気が良ければ間に合うけれども、冷夏となり秋の訪れが早ければ青立ちのまま実が入らない状態で終わる可能性もあります。
まさに伸るか反るかのバクチ(博打)みたいなことなのです。
皆さんは意外に思われるかも知れませんが春から収穫の終わる秋までの間に、結構そうした場面に遭遇することがあるのです。
例えばお米のことですがたった数時間の寒さに当たってしまったばっかりに収穫が半分ほどになった事例を知っています。
幼穂形成期(7月の始め頃)に田に保温のための水が入ってなかったのが原因で12℃の低温にさらされて花粉が死んでしまったのです。
人間はこれまで科学技術を発達させ知識をもってずいぶんと自然をコントロールできるようになってきたのはまちがいのない事実であると思います。
多収で寒さ、暑さ、病害虫に強く、とても美味しい品種の開発、そしてそれを栽培する農地、施設、設備の改良、農業機械の作業効率の高度化・・・・これらは農家だけでなく、生産され加工された農畜産物を消費する一般市民にも結果的に多大な恩恵をもたらしています。
キツネやらカラスとの闘いに文明の利器(電牧)を使い"知恵"をもって安全、安心なお米を作る・・・・これもやっぱりミニコントロールなのでしょうか?
でも決して奢ることなく、外敵・・・・自然との"共生"に頭の半分は使っていくのがいいのではないかと思います。
投稿者:taka-farm