コメッセージ 165号 2010年 02月号
両側にブランド品やレストランなどの古い石造りの店が並び、10数mぐらいの高さにガラス張りのアーチ型の屋根がかかって総延長が数百メートルはあろうかというアーケード街が続いています。
で、そこをぬけると、お~ とツアー客みんなが驚きとも感嘆とも言える言葉を発しました。
いきなり眼前にとてつもなく大きな、白く巨大な大聖堂がそびえ立っています。
これが私たち夫婦の結婚25周年記念で先月行ったイタリア旅行の序章となったわけですが、ほぼ一週間の日程で北はミラノからベネチア、そしてフィレンツェ、南はローマ、ナポリまで大手旅行会社のツアーに入って行ってきたのです。
ヨーロッパでもギリシャと並んで古い歴史のあるイタリアですが、さすがに世界一の世界遺産を持つ国だけあって、古代ローマ帝国の神殿や競技場、中世の城や教会、大聖堂などの巨大な建築物、そしてその中に納められているおびただしい彫刻や絵画などに圧倒されつづけた日々でした。
2000年という時を超えて時の権力者、それは皇帝であったり国王であったり、教会であったりしたわけでしたが、それがいかに強大なものであったかが容易に図り知れます。
現地ガイドさんの案内、説明もとても良く、こうした遺跡や建物の見学、美術品の鑑賞などかつて教科書の挿絵で見たものの実物(もしくは忠実に再現したレプリカ)に接する機会が持てたのは25年の記念の重さと同じぐらいに素晴らしい感動をもたらしてくれたと思っています。
今年は"黒"が流行色?....街ゆく人々は黒っぽい装いで、目鼻立ちが整いスラッとした本当に格好のいい男女が闊歩しています。
欧米先進国ではぶくぶくに太って皮膚も脂(あぶら)ぎり、だらっとたるんでいる人を多く見かけるのですが、さすがにイタリアは"ファッション"と"食"の国と言われるだけのこともあるのか、そういう人はほとんど見かけません。
イタリアはEUの構成メンバーとしてはドイツ、フランス、イギリスなどと比べ経済力などで格下に甘んじてたいへんな部分があると聞いてはいましたが、道路の両側にビッチリと並んだ車や狭い路地をビュンビュンとばして走る車の様子、そのスキを縫うように歩く人々、広場で大声で会話を楽しむ市民達....どこか見ていてもなんか顔つきが今の日本人とはちょっと違ってそんな喧噪のなか、明るく前を向いているような気がします。
陽気なイタリア人気質と言ってしまえばそうかも知れませんが、古代に世界に冠たる文明を築き、中世にルネッサンスで文化の華を咲かせた先人の血が現代に生きる市民達に"自分達の時間を自分たちらしく生きろ"という風に流れているのでしょうか。
あっという間の旅でしたが、イタリアは基本的に農業国ということがわかりました。
高速道路をバス移動して北部の平原穀倉地帯、中部丘陵のオリーブ、ぶどう地帯を車窓から眺めていて前述の文明、文化の源は戦勝や交易の富もさることながら、豊かな"食"にあったのだということが窺(うかが)い知れます。
今回のツアーでは田舎は回れず限られた時の中でその"豊かな食"を味わうことまではできませんでしたが、街を歩き、人々の風情に感じつつ世界のスローフード運動発祥の地となった一端に触れられたと思います。
ツアー最後の日、雨になったローマ市内を家内と二人で歩いていて、とある小さなスーパーで、な、なんとにぎり寿司のパックを見つけさっそく買い求めた次第。
空港で搭乗前に食べたとき7日ぶりの日本食に思わず感激....あ~あ、日本人に生まれて良かった....今、日本食の素晴らしさが喧伝されて世界的ブームだというので日本発信の日本版スローフード運動みたいなものはできないのかなぁと思ってはみたものの、帰国してから寿司のレシートを見ると..........
げっ!1パック1,800円!だって....。
投稿者:taka-farm