コメッセージ 182号 2011年 07月号
「うん、札幌にあるシェアハウスに入ることにしたから」と末の娘。
昨年末より札幌の会社に勤め始めた末娘がなにやらアパートを物色している風で気にはしていたのだけれども、やはり家を出て本当の意味で自活の道を歩み始めたということか。
「で、父さん、保証人になって欲しいんだ」とつづき「それから印鑑証明もあわせてお願いね」と、もう私のもの申すところなんかこれっぽっちもありゃしません。
どうして札幌住まいを決めたのかというと、やはり通勤時間が短いのが何と言っても魅力のようです。
今度は地下鉄利用でハウスを出てから30分もかからず会社に行くことができるのです。
また、普段から単独での旅行好きなだけに、一人での新しい生活とハウスをシェアする人達とのふれあいにも期待するところがあるのかもしれません。
それと朝晩の駅までの送り迎えを家内や私がやっていたわけですが、やはり家族に負担をかけていることを気にかけていたのかな......?
でもまずもってこの末娘にかぎってはそんなことを思うなんてありっこないはずなんだけれども、しかしコメッセージNo,177にも書いたように、娘を送る車中での会話はとても大切で、後々きっと実にかけがえのない時だったとして思い起こされるでしょう。
話しは替わりますが前述のごとく出て行く者がいるかと思えば逆に帰ってくる者もいるという話です。
ある日、後継ぎとして今春から家の仕事をしている息子の良平が草刈りをしていて「父さん、カメを捕まえた」と言って甲羅の長さが17,8cmはあろうかという大きな亀を持ってきました。
本当に私もびっくりしましたが、実はわたしも以前に同じような経験をしたことがありました。
もう20年以上も前になりますが、田の草取りをしていて手を土の中に入れているとなにか石のようなものに指が当たります。
で、つかんでみるとこれがなんとカメだったのです。
早速自宅の温室で飼うことにして入れていたのですが、上の娘が外に出して遊んでいた時、ほんのちょっとしたスキに逃げてしまいました。
カメって意外とすばしっこくて、小さな子どもの目を盗んで逃亡することぐらいわけのないことなのです。
今回、良平が捕まえたカメはひょっとしてその時逃げたカメ?....顔の模様をみるとどうもミドリガメらしく、確か娘が逃がしてしまったのもミドリガメだったし、大きさとかが似かよっていて、それもありかと、ふと頭をよぎったしだい。 いずれにしてもカメがやって来るなんてちょっと縁起がいいかも....なんてなことを思いつつ、良平に温室に放しておくようにと言って再び飼うことにしました。
子供達がどんどん成長して独り立ちしていくのは嬉しい反面、やっぱり寂しさもつのります。
最近は良平が晩に出かけた時など、家内と二人だけの夕食になることしばしばで、ちょっと前まで子供達3人との生活で賑やかだった食事の時を、とても懐かしく、またとってもかけがえのない時だったんだなと思い返されます。
子供達が小さかった頃はただただ騒々しく、忙しさも相まってあわただしく過ぎ去ってしまいました。
気が付けば私ももう数年で60歳、おとぎ話じゃないけどカメが"玉手箱"を持参したとして今更"白い煙"が出たって7分方白い頭ではさほどの影響もないわけですが、きっとその中には、"子供達の成長"というおみやげが詰まっていたことでしょう。
投稿者:taka-farm