コメッセージ 184号 2011年 09月号
っと溶接棒の先端が青白い強烈な光を放っています。
たまに真っ赤な火の玉が袖出口に入ったり足下の靴の中に落ちたりと、思わずあっちち、あっちちです。
9月に入った今(9月1日)でも新しく建てた乾燥及び精米の施設の中は完成しておらず、気持ちの上ではあせりに焦っているところですが、今年は稲の生育が普及センタ~の見立てではこちらの都合を知ってか知らずか平年より5日ほど進んでいるとのことで、どうも9月の10日過ぎには稲刈りが本格化しそうとのことでした。
ですからもう残りわずかで収穫した籾を乾燥、貯蔵する施設、設備、装置、その他諸々を突貫工事で仕上げなくてはならないのです。
しかし思い出すのは今まで使っていた建物(21年前に建てたもの)のことです。
というのは今回の建物の内部設備はほぼ業者さんにお任せでやっているわけですが、21年前に建てたときは中の造作はほぼ自家労力だけでやり終えたのです。
籾の貯蔵するタンクだけで6基、玄米換算で1000俵の籾を貯蔵できるタンク群を自力で作り上げてしまいました。
あの当時は私も36歳と若く気力も充実していたし、父もまだ60歳と大工仕事ぐらいは十分にこなしてくれました。
そして今回のように立ち退き補償もなく予算もないなかでなんとかしなければという思いがそれにかぶさって、今考えてもこんなことよくできたなと思い返されます。 私の農場を訪ねてくれる方々に「この納屋の中の設備はすべて手作りですよ」と言うと皆さん一様に「へ~」と驚かれ、自分自身まんざらでもない気分にもなったものです。
しかし所詮素人のあてがいぶちで作ったものだけに若いときは何とかなっても、50代も半ばをすぎるとはしごをあがったり降りたり、籾がつまればそれを取り除いたり肉体的にきつさが増してきました。
そしてなにより危険な中での作業ですから事故が心配されます。
なにかあってからでは遅いのです。
ところで永田町近辺ではまた騒がしいことで、とうとう首相が交代しましたね。
新しくなった野田さんは私より若いということで、今までの歴代首相で私より若かったのは初めてのことです。
確か5代前の阿倍首相が私と同年配だったと記憶していますが、これからの日本を引っ張っていくのは私よりも若い世代の政治家達で、素晴らしい人材の登場に期待するものです。
就任会見?だったか「田んぼのどじょう」のような存在で頑張りたいみたいなことを言っていたようですが、皆さんは「田んぼのどじょう」ってどんなんか知っていますか。
文字通り田んぼのドロドロのなかにいるわけですから決してきれいなわけじゃないですし、 環境の変化、例えば水が無くなったって土のなかに潜り込んでじっと息をこらしてしぶとく生き残っている。
春先などスコップで排水のドロ上げをするときなど冷たいヘドロといっしょにどじょうが数多く上がってきます。
本当にびっくりするくらいのタフさです。
収穫最盛期など無茶苦茶忙しいとき、若かった頃はよく午前0:00を過ぎても納屋のなかで乾燥籾の排出、刈りだめしておいた籾の乾燥機張り込みなどやったものでした。
我ながら"タフ"だったなと思いますが、今だったら年でとてもできません。
これがもし息子の良平だったら若いからできるかというと....たぶんできない...というよりも"やらない"と思います。 きっとスマートな考え方の現代日本人にはドジョウ的タフさは似合わないのでしょう。
新首相にはドジョウ的タフさでどこまでやれるか....頑張ってほしいものです。
投稿者:taka-farm