コメッセージ 192号 2012年 05月号
これは某スーパーが中国から輸入したお米の販売価格で、新聞紙上の一面にセンセーショナルな形で載っていたものです。
国内産であたりまえのものであれば、いくら安くても1,000円台後半が普通だと思いますが、正直この価格には驚きました。
今、中国からはおびただしい数と量の商品が安価が故に輸入されていますが、とうとう米まで、しかも一般人に直接食用として販売されたことに愕然としてしまいました。
米粒としてではなく加工されて形を変えての輸入ということであれば当然ありかなとは思っていたのですが、堂々と激安の目玉商品となってこれを扱ったスーパーは大いに宣伝効果が上がったことにほくそ笑んでいるのかもしれません。
しかし、私はそのお米については食べておりませんので、いかんとも評価できないのですが友人の中に食べてみたという者がおり、その食後感を聞くことができました。
その彼の曰く、「二度目は食べたいと思わないな......けっこうパサついてねばりが足りないし.....やっぱり俺の口には合わない......」云々。
品種はなんだろうか?
日本米の種がずいぶんと向こうに渡っており、食味など品質的には遜色ないものがあるようには聞いているが、実際はそのほとんどがひとにぎりの富裕層によって消費されているらしい。
今回日本に輸入されたものは彼の地で生産された二級品のはずで、食味が劣るのもしかたのないことではあるが、経済の原則とはいえ激安輸入米が商売になるという日本の現実の姿に改めて複雑な感情を抱いてしまいます。
ところで当ファームのお米「ふらりオリジナル」がこの度、少しの量ながら三越伊勢丹系列の三越千葉店で扱っていただくことができました。
これは私の大学時代の同級生S氏の立ち上げた道産農畜産物販売会社(私も取締役の一人として参加しています)を通じて行ったもので、到底私だけの力ではなし得なかったことですが"農"と"商"の連携の結果としてたいへん良かったと思っています。
私はこれまでほぼ独力で販売先を見つけたり、みなさまの口コミによる応援などで少しずつ販売量を増やしてきましたが、やはり法人とはいえ一農家が生産から在庫までの管理、精米加工、配送までの管理、販売にかかわる宣伝、代金回収など諸事全般にわたる事務管理.....等々すべて行うことはかなりたいへんなことで、ましてや有名デパートのようなビッグなところとお付き合いするなんてことは、まず考えられないでしょう。
世界中の国で問題になっている人々の経済格差は一時、一億総中流と言われた我が国でも顕在化しつつあります。
自分のお米に誇りをもって他との"差別化を徹底"し"高付加価値"を追求する姿勢を貫くような高級路線....つまり"デパート"でいくか、ある程度の誇りは持ちつつも中身もそこそこ、価格もそこそこの"量"で勝負の"スーパー"でいくか....これは今後の6代目後継者にとっても難しい選択になることでしょう。
TPP問題の行方、税制や年金、少子高齢化、農業従事者数の激減....これからの様々な動きの中で自分のとるべきスタンス、タカシマファームのあるべき姿を若い発想で描いて欲しい。
そしてできるならばあと2年でその「絵」を私に見せて欲しい。
投稿者:taka-farm