コメッセージ 194号 2012年 07月号
ここは昨年12月より稼働している当社自慢の精米所で外は25℃もあるのに中はヒンヤリで、しごく快適です。
モミの乾燥、貯蔵施設の一角に断熱材で仕切った広さ14坪ほどの部屋を設けて、そこに精米プラント一式を旧施設より移設したのです。
それまでは資材や農機具などが置かれているなかにいっしょにあって、お世辞にもきれいなところでやっていますねなんてとても言われませんでしたけれども、この度の施設はプラントの修理屋さんも「農家さんでこれだけの施設を用意しているのは、そうそう見たことないなぁ」と言ってくれました。
考えてみればお米といえども食品ですから衛生、温度管理はきわめて初歩的な部分で、建てるのがあまりに遅すぎたと言うべきでしょう。
7月に入ってここ北海道も夏本番を迎える季節になりましたが、この暑い時期に一番きつい仕事、田の草取りをしなくてはなりません。
今年は2年ぶりにアイガモ農法も復活させ、カモ君たちといっしょになっての草取りです。
しかしカモ君たちがスイスイ泳ぎ回る姿を見つつも、背中をじりじり焼かれるような暑さの中で息子と二人で腰痛に耐えながらの仕事はただでさえ無愛想な男同士の親子をよりいっそうとっつきにくいものにします。
お互い反対の方から草をとっているときなど遠目で見て、近づいてきたら何を話そうかなんて考えてもたいした話題もあるわけでなし、この列はとなりよりできがいいとか、ヒエが少ないとか.....出会ってそんなこと言っているうちにお互いの背中がだんだん遠くなるのです。
だったら並んで取れば?って言われそうですけど、男同士、親子が並んでぺちゃくちゃ話しながらの作業なんてやっぱり考えられない....と私も息子も思っている風です。
それくらいなら田んぼの右端と左端から始めて最後に中程で出会う方がよっぽどましというものでしょう。 ということで精米担当の私の仕事が入る時は一人涼しく、まるで天国じゃないですか。
ところで、原発再稼働にゴーサインがでたようです。
N首相が国民向けに再稼働の安全宣言をし、H県のO町町長がそれを受けて容認し、県知事もがその流れに乗って....まぁ筋書き通りですね。
あの大事故の後始末が何一つ終わっていないし廃炉の道筋すら今後30年、50年いや100年以上かかるかもしれないというのに、経済最優先でとりあえず電力不足を回避しなくてはならないということです。
H県民は持ち家率や貯蓄額で日本有数の豊かさを誇っていましたが、原発銀座を抱え関連のお金がどれだけ回っていたのでしょうか...でもこれからも続く原発と隣り合わせの生活に世代を越えて耐えていけるでしょうか。
子孫達に放射能という見えない恐怖のないふるさとを残してあげないとなりません。
という私も虫よけや食味保持が目的で導入した精米所のエアコンですが、結果として涼しさという電気による快適さも享受しているわけで批判ばかりできる立場にはないけれども、せめて「これからは脱原発に向かい再稼働は最後の最後の最後の手段」ということをぶち上げて欲しかった。
世界の人から昔エコノミックアニマルと嘲笑をもって言われ、また今懲りない日本人としてエレクトリックアニマル(電気動物)と言われそうです。
投稿者:taka-farm