コメッセージ 213号 2014年 02月号
実は昨年11月、ニューヨークの国連が、飢餓の根絶と天然資源の保全について家族農業が大きな可能性を持っている事をアピールするために制定したのだそうです。
家族農業といえば規模の小さい、家族単位で(これには漁民や牧畜民も含まれる)耕作しているどちらかというと非効率的で生産量、生産力ともに低いいわば時代遅れの産物と思われるかも知れません。
しかし国連のFAO(食糧農業機関)は「家族農業が持続可能な食糧生産に果たしている役割を高く評価し、特化(大規模化、モノカルチャー化)しない農業活動において環境と生物多様性が持続的に保全されている」と言っているのです。
全世界で5億世帯以上の家族農家が数十億人の人々の食糧を作っていて、途上国では農業といえばほぼこの家族農業のことをいうようですが、日本でいえばどんな形態を指すのでしょう。
懐かしい言葉だと昔は「出稼ぎ農家」あるいは「三ちゃん(かあちゃん、じいちゃん、ばあちゃん)農業」、いわゆる二種兼業農家というものでしょうが近年の日本の家族農業は淘汰も進み、世界的な物差しでいうとまだまだとても太刀打ちなんてできないですが「家族農業的中途半端大規模経営」とでも言いましょうか、そういった形態がだんだんと中庸を占めてきているように思います。
すなわち国連の言う家族農業でもなく世界で通用する企業的な大農場でもないのです。
そうした日本の農業がフル生産したとしても家畜のエサも含めた自給率では30%そこそこしかありません。
ところでTPPの交渉は越年し難しさが出ているようですが、なりふりかまわぬアメリカのグローバル企業優先政策だとFAOの言う家族農業の価値なんて全く意に介していないし、歯牙にもかけていないとしか思えません。
TPPは農業面においては国連FAOと全く相容れないものでしょう。
この事だけでも国連っていったい何なの、こうした呼びかけに意味なんてあるのと逆に存在そのものの意義を問うてしまいます。
2年前同じような、「国際協同組合年」という運動の年もありましたが、そのことによって何かが変わったということもなかったように思い返されるのです。
ひるがえって私の農場はどうかというと、まさに一応会社の体裁はとってますがお米が大部分の日本型「家族農業的中途半端大規模経営」の典型でしょう。
でも、地産地消を旨として、地域の方々に美味しく安心して食べていただけるような作り方や今後50年100年と次代につながる優良な農地や環境の保全を全うできる農場の姿を追い求めることで、”FAOの言う家族農業”の一翼を担えるものと確信しています。
まさに日本的な家族農業の未来はそこにあるのではないでしょうか。
投稿者:taka-farm