コメッセージ240号 2016年5月号
先月14日午後9時40分、何気にTVを観ていたらニュース速報で画面が切り替わり、メチャメ
チャ街の灯りが揺れて、大きな地震が起きたことを伝えています。
えっ!今度は九州の熊本だって....つい先日5年目を迎えた東北大震災の険しい復興への道の
りを伝えていたばかりなのに。
震度6クラスのうち続く余震のなか、甚大な被害の全貌が明らかになってきましたが、日本の東と、
西での大災害に改めて大自然の猛威を感じざるを得ません。
津波の恐ろしさは十分わかっていたはずなのに、防潮堤もあるしここまではやってこないだろ
う....過去100年ぐらいも大きな地震がなかったのでまさか自分の身にふりかかってくること
はないだろう....自分も含め人間ってなんとめでたいものかとは思う。
被災地外、あるいは親類縁者のいない人々は画像の向こうの現実をさほど痛みを持って見ることも
なく、また理解もできないのではないか。
そんな風に思うと真実を伝えようとする報道と、受け手の我々のギャップのなかに何か残酷さめい
た部分を感じてしまいます。
ところでウルグアイのホセ・ムヒカさんという「世界で最も貧しい大統領」だった人が来日され
講演をされたのですが、私もTV番組でのインタビューを観ました。
「貧乏な人とは少ししか物を持ってない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない
人のことだ」と昔の賢者の言葉を引用し、グローバリゼーションの名のもとに支配された現代資本
主義下の私たちのライフスタイルを痛烈に批判しています。
以前にこの方の生き方を紹介していた番組を観て、若いときに政治活動で13年も投獄されたが心
は折れず、力(金や軍事)で決して良い政治はできないことを悟ったこと、大統領時代はその報酬
の大部分を寄付していたこと、退任後は粗末な家屋と小さな農場で質素に暮らしていることなどを
知っていましたし、パナマ文書なる世界的な政治家や大富豪の隠し財産作り、税金逃れの醜聞が漏
れ伝わってきたタイミングと合わさって改めてこんな清廉な政治家もいたんだなとその高潔さに
感嘆したものです。
現政府はTPPが世界中に富(金、物)をもたらすという自由貿易礼賛ですが、しかしこのまま
ではその富の99%は1%の欲たけた貧乏な人たちのものになってしまいますし、旧民主党政権が
TPP参入を表明したときに断固反対と言っていたはずです。
一般庶民のささやかな暮らしが大災害によって根底から崩れゆく中、細々とした年金暮らし高齢者
の支給額を減らすような福祉、派遣や契約社員を増やすような労働法制改定、公平な?税負担を消
費税増税でと言いつつ大企業の法人減税や売り上げ増のためなら武器輸出までも解禁、そして株配
当に対する減税........なにか社会的強者を助け弱者をくじくようにも向かっているよう
に思えます。
無限の欲は確かに世界を豊かにしたかもしれないが大変な不幸も生みだしています。
人は不幸になるために生まれて来たのではありません。
為政者は庶民の信頼に足る人格と価値観を持って事に臨んでいただきたいのです。
◎このコメッセージもおかげさまで書きためてまる20年になりました。
投稿者:taka-farm