コメッセージ299号 2021年4月号
「パラレルノーカー」....?なにやらまた新しい造語っぽい言葉が聞かれるようになりました。
パラレルとはスキーをしたことのある人ならわかると思いますが2本のスキーを並行に揃えて滑る...つまり並行してということですね。
ノーカーというのは農家(ノーカ)と仕事の従事者(ワーカー)をくっつけたこれまた造語で日本語で言えばパラレルノーカーとは「並行的農作業従事者」とでも言いましょうか....?
出どこはJA北海道中央会でホクレンやJAバンク、JA共済連、JA厚生連などのまとめ役をやっている中核組織としてそれらの指導的立場にあり、内外に向けての農業分野の情報発信、政治的取り組みなどこれからの北海道農業の方向付けに大きな力を持っているところでもあります。
で、その主旨はというと以前の農業 を するという一つの選択肢から農業 も するという複数の仕事の選択肢があってもいいのではないかというもので、別に本業を持っているけれども空いている時間に農家の仕事(農作業に従事)もするというような感覚だと思います。
近年農業生産現場では労働力不足が深刻になってきて主にアジア系外国人労働者頼みの部分がありましたが、コロナパンデミックですっかり様相が変わってしまい多くの人手を必要とする農畜産物の生産農家は人手確保に困難を来すようになってしまいました。
全国では緊急避難的にホテル、航空、飲食業などから余剰人員を受け入れる体制を組んだりしてはいるものの根本的な解決にはなりませんから、潜在的に存在すると思われる農作業など基本的に外で体を動かす労働をしてみたい人や農的な暮らしに憧れている層に訴えかけるパラレルノーカーという発想で永続的で、さらに実際に農業現場に触れることで将来あわよくば農業に新規参入してくれることも期待しての訴えかけになったということでしょう。
もう20年ぐらいになりますか「半農半X」、つまり自分と家族の食べる分(自給)だけ生産する農業をやりながら別の仕事をする、例えば作家、音楽、絵画、デザインなど文化的な創作活動、コンピュータのプログラミング、会計処理などの請負業務、教育、健康、保育など地域で必要とされる自分の持っているスキル(技能)を提供したりと自身のライフスタイルを満ち足りたものにする田舎の暮らし方が提唱されるようになりました。
半農半Xは本州府県大都市圏近郊が主ではあったかと思いますが、今回の北海道のパラレルノーカーの話とはどちらも今の仕事を続けながら農作業もやる....とほぼ同じようにも見えます。
でも微妙にニュアンスが違うのは繰り返しになりますがやはり農業生産で相応の戦力として将来位置づけられるかどうかということだと思います。
デジタルの急激な進歩は出社しなくてもオンラインで仕事や会議をする、やはり造語ですが休暇先で仕事もするという「ワーケーション」、また数日、あるいは数週間の滞在で仕事をしながら田舎を転々とする「多拠点生活」など働き方を著しく変えつつあります.....が、ただこれで自分の仕事、ライフスタイルを追い求められるのはあくまでスキルを持ったスキルアップのできる人の話で、普通の派遣や非正規労働には当てはまらないことには留意しなければなりません。
パラレルノーカーはスキルアップで得られる充実した人生を最大の目的にすべきでしょう。
投稿者:taka-farm