コメッセージ311号 2022年4月号
4月に入りあれほど降って積もった雪も暖気とともにかなり少なくなってきました。
融雪剤を散布した畑はさらに雪解けも進み、人手の入るのを今か今かと待っているようです。
北海道は冬といえばほぼ銀世界となり、その雪が野や畑のシバレよけの”ふとん”の役割をはたしたり、山では自然のダムの役割をはたし融雪水が貴重な灌漑(かんがい)水となります。
私も40年以上米作りに携わってきましたがこれまで春の水需要期(しろかき時期)、水が足りなくなって田んぼができなかったということは一度もありませんでした。
今、世界中で注目のウクライナとロシアの戦争ですが、毎日ネットやテレビで報道されて惨状が私達の目に触れていますが、私達の感覚の雪景色というのとはかなりイメージが異なります。
日本海のような海が近くになく、高い山もないということで雪雲が発達しないのですね。
どこまでも続く平坦で肥沃な黒土に覆われた大地、昔、地理の授業で世界有数の農産物生産国(当時ソ連邦の一共和国)と習いましたが、現在も小麦6位、とうもろこし5位となっています。
基本的にはウクライナの人々はこの地に暮らし始めた時以来、農耕民族的な人々とも言えるのではないでしょうか。
そのウクライナにも春はもうすぐそこまでやって来ています。
畑を起こし、肥料をまき、種を播くといった農作業が目前に迫っており、戦争の禍中にある当地の農家達の「一刻も早く戦争を終わらせてくれ!」という切実な願いを、命の次に大事な食べ物を作る同じ農家の端くれとしても感ぜざるを得ません。
ここにきて第3次世界大戦になるかならないかはプーチンの胸先三寸というそら恐ろしいことにもなっていますが、ロシアは日本の隣国で根室とは3kmしか離れていない北方領土の貝殻島を戦後からずっと占拠しており、仮に陸路だったら歩いて30分の距離しかありません。
それを思うとウクライナ戦争は遠い地の出来事とたかをくくってはいられないと思います。
77年前終戦に際しロシア(当時ソ連)は北海道の北半分をよこせとアメリカに迫ったとか、仮にそうなっていたらかつての東西ドイツ、そして今の南北朝鮮のようになっていたかもしれません。
真っ二つに南北に分かれて、間に非武装地帯があって...常に日本人同士が武器を持ってにらみ合っている.....考えたくもないおぞましい姿の北海道ですが本当にそうならなくて良かった。
報道では勧善懲悪が大好きな日本人、民主主義バンザイの欧米にならいロシア悪玉でほぼ一色ですが、何故ソ連崩壊時を境にロシアに欧米型の民主主義が根付かなかったのか?
あれだけ広大な国土なのに何で侵略してまで安全担保の傀儡(かいらい)政権を作りたいのか?
あれだけの地下資源のある国なのに何でそれを使って世界に冠たる豊かな国になれないのか?
大きな国土と多様な人種をまとめるには強大な指導力(権力)と軍事力(公安)が必要なのはアメリカと同じかもしれないが、それが特定の個人や政党、宗教などに集約され長期化するといつしか選挙も形骸化し、ロシア、中国のように自由が大幅に制限され権力者の都合だけで動く無味で多様性のない薄気味悪い社会になってしまう。
戦後から平成の私の時代、それは自分の田んぼに自由に自分の『夢』を求められた時代でした。
息子の良平達の世代、まさにこれからですが平和な時代であり続けてほしいものです。
投稿者:taka-farm