コメッセージ312号 2022年5月号
今年は平年より1週間も早く桜が開花とか.....今冬の大雪にもかかわらず着実に温暖化が進んでいる証左かもしれませんが、北海道も過ごしやすい季節になりました。
稲の種まきも終わりハウスの中で1ヶ月ほど育苗管理したあと今月下旬に田植えになります。
45年以上繰り返してきた私どもの米作りルーティンが始まったわけですが、この数年質、量ともにまずまずの豊作で米価の下落基調を除けばとても喜ばしい年が続いているところです。
道産米は「ゆめぴりか」を筆頭に「ななつぼし」、「ふっくりんこ」と令和3年産米も全国の米ランク検定で特A(最高品質)と品質的には申し分ありませんよというお墨付きを取り、今ホクレンはまつこデラックスと新庄日ハム監督の起用CMも流して売り込みに余念がありません。
この数年そうこうしているうちにいつの間にかゆめぴりかはこれまでお米界の横綱だったコシヒカリの値段をも上回るようにもなり、北海道の米農家やお米に関係している方々にはさぞや感慨深いものがあろうかと思います。
しかし名前が通れば通るほど、生産が増えれば増えるほどこれはいかがなものか?と思われるようなまがい物、低品質のものが現れてくるようになるのは世の習いのようです。
最近うちの顧客さん達からたまたまお米を切らしたので他店でゆめぴりかを購入して食べたらちょっとまずかった、あまり美味しくなかったという話を3件ほど聞かされました。
一点だけ現物のお米も見せていただいたのですが少々黄ばみがかっていかにも古い精米か、もしくは同じゆめぴりかでも一昨年産のではないかと疑いたくなるようなもので、そんなことをすると我が首をしめるだけだろうという思いと、生産者にとっては実に残念の一言につきます。
ホクレンは生産量がむやみに増えないように我々生産者に種の配布を制限し、自家産米を種子転用して必要以上増産しないよう啓蒙、産地指定をしたり生産者ごとの食味値を測定し基準外のものを除いていいものだけを販売しようと躍起になっています。
そういう取り組みの結果が上記のコシヒカリを凌ぐ評価に繋がったことは否めませんが、でも現実に一方で美味しくない道産?米も情けないかなまちがいなく流通しているのです。
さてウクライナの戦争も3ヶ月目に入って長期化の様相を呈してきていますが、グローバルな時代、食糧やエネルギーなど日本が輸入に頼る生活必需品の値上がりが続いており為替の円安とも相まって一般庶民にはより一層厳しい流れになってきました。
生活の格差が広がる中で追い打ちをかけるような今回の戦禍ですが、当ファームでは先日地元のきたひろしま暮らしサポートセンターの依頼で緊急援助米の提供をさせていただきました。
少しでも美味しいお米を召し上がっていただき、いくばかりかの元気、前向きな気持ちが出てきたならこんな嬉しいことはありません。
生活に困窮している時、そりゃぁ高くて美味しいものは食べられないかもしれません、しかしだからといって食事を抜いたり、まずいのを我慢したりというばかりでいいはずはありません。
そんな時だからこそなおさら美味しいごはんを食べて元気を出してほしいのです。
地下要塞で2ヶ月以上も避難している子供が「お日様を見たい....」と言っていました。
春になったら種をまく、こんなルーティンがこれほどいとおしく思えるなんて!!
投稿者:taka-farm