コメッセージ316号 2022年9月号
あ~ぁ~なんともはや....とうとうこの日がやって来ちまったか~.....つい先月末のことですが、平成8年(1996年)以来これまで26年間、うちのお米をせっせせっせと精米してくれていた精米プラント機械一式を処分して最新式に入れ替える日がやってきたのです。
たまたまお米の注文があってその日の朝、精米機のスイッチを入れたのですがこれを動かすのも今日が最後だと思うとやはりちょっと胸に熱く去来するものがありました。
平成8年に特色のあるお米で差別化を!ということでアイガモ農法を始め、じゃ何かうちだけのブランドが欲しいと米に「田園交響楽」という名前を付け商標登録し、さらに名前負けしない品質のいいものをお客さんに届けるのにはいい精米機が必要...ということで当時としては色彩選別機も含め一農家にはいささかもったいないぐらいの感覚で導入したように覚えています。
それ以来うちの農機具の中では一番稼働率が高く今の経営業態を作り上げたまさに礎の機械設備となっていたわけです。
田植えや、稲刈りの農作業を終えたあと翌日の配達のために晩の10時、11時と動かしたことが
幾度もあったけれども、さしたる故障もなく本当に良く働いてくれた.......。
私の一番油の乗りきった40代前半からもう1年ちょっとで70になんなんとする60代後半までの長きに渡って私と歩みを供にしてきてくれた言わば戦友(戦争経験の無いものが軽々に使う言葉じゃないだろうけど)みたいなものかも知れません。
ところで戦争といえばウクライナとロシアですが、もう半年以上も続いているのですね。
ウクライナが欧米諸国の武器援助やロシアに対する経済制裁をテコにして思いの外善戦し、現在はほぼ膠着状態になっているようですが停戦交渉がなされる気配すらなく毎日のように兵士、民間人に死者がでており建物や公共のインフラの被害はずっと続いたままです。
戦争は膨大な金を費やすとともに最大の環境破壊をももたらします。
TVの映像には排ガスをまき散らしながら走り回る戦車や黒煙を巻き上げ燃えさかる燃料タンク、弾薬庫、火を噴き白煙を吐きながら飛ぶおびただしいミサイル....この数年スウェーデンの少女グレタさんの活動もあって世界中に自然保護運動、温暖化対策の動きが広まり地球の環境を守ることが人類に突きつけられた喫緊の課題として定着しつつあったにもかかわらず.....。
さらにザボリージャ原発も戦火のもとでいつまで人の制御がなされるのか予断を許さない状況になっているといいチェルノブイリ、福島とあれほどひどい被害を受けたのに人間はひとつも賢くなっていないんじゃないか....そもそも賢い人間であれば戦争なんかしない?
焼けただれ半分崩れた農作業場、弾痕の痛々しいトラクター、そこかしこに着弾による大穴の出来た農地、そして当然その農地には何も作付けされていませんがそれらを前にウクライナの農民は力なく「俺はもう再起はできない、俺にはもう何も残っていない」と訴えていました。
この農民の嘆きを聞いて自分に置き換えたとき自分もきっとそう言うしかないんだろうなと、どんなに想像力を働かせても外に生きる算段、術なんか見つかりそうもありません。
平和であってこその農民、受けた仕打ちへの恨みのエネルギーでは生きられないのです。
投稿者:taka-farm