コメッセージ336号 2024年5月号
メタン削減 水田から .....と先月の北海道新聞の1ページを使って水田から発生するメタンガスを減らす対策がなされることが書かれていました。
え~っ、田んぼからメタン?....と皆さんはまず田んぼとメタンのつながりを不思議に思われるのではと思いますが、今、大問題になっている地球温暖化(沸騰化)の原因の第一が二酸化炭素(CO2)に代表される温室効果ガスの排出量の増加による濃度の上昇で、なんとか減らすべく自然エネルギー(太陽光、風力、バイオマスなど)発電に切り替えたり、車をEV(電気自動車)にしようといったことで、これ以上の進行を食い止めようと遅ればせながらも世界中で取り組みがなされるようになってきました。
で、問題のメタンですがCO2に比べて絶対量はかなり少ないものの、その温暖化に与える影響は同量のCO2の実に28倍もの能力を持っていると言われ、なんと牛のゲップ中にあるメタンガスが問題視されるほどで温暖化を助長する因子としては放って置けないということでしょう。
そうした背景の元でこれからは田んぼから発生するメタンガスにも目を向けて行こうとなったようですが、田んぼからどうしてメタンガスが出てくるのかわかりますか。
解りやすく言うと例えば水の澱んだドブ川などには泥底の有機物が腐敗し悪臭が漂っていますが、田んぼでも同じようなことが起こっているのです。
すなわち田んぼに残っている前年作の稲株やワラなどの残渣物(有機物)が腐敗してガスが発生して臭くなりますし、その際には酸素を必要としますから肝心の稲の根の周りから酸素を奪ってその成長を阻害してしまいます。
これを農家はワキと言っていますが田んぼがそうした状態になると根腐れを起こし成長の遅れと病気に弱い軟弱な稲になりますし、腐敗した有機物が後になってチッソに変わって本来必要の無いときに稲に効いて、美味しくない高タンパクのお米ができてしまうのです。
日本は2020年、CO2排出量が10億㌧あまりで減少傾向の世界5位、世界では323億㌧あまりでこれも減少傾向とか.......でもこれってどうやって量を調べるのでしょうかね?
そしてさらに解らないのは排出権取引とかいって、企業にあらかじめ決められた排出量より少なく達成できたら未達の企業との間でその分を売買できるというのですから、どこの誰がどんな決め方をするんだか.....私ら農家にとって自分の田んぼからメタンがどれだけ発生しているかなんて解るはずもありません。
記事によると昔から稲作りの技術としてある中干し(なかぼし=一時的に田から水を排出して田を乾かす)という作業で田のワキを抑えることで、それで結果的にメタンの発生を抑制できるとのことですが、その手法として取り組みに参加する農家が記録をとり地元のJAが確認して10aあたり1000円から3600円程度の農家収入にするようで、この仕組みはホクレンが作り農業コンサルタント会社が前述の排出権市場で販売するようです。 私どもは中干しと収穫後の稲ワラ秋すき込みで有機質分解を促進しており心配ないのですが、何でも金で換算の時代とはいえ昔の篤(とく)農家はこの有様をどんな風に思うことでしょう。
投稿者:高嶋浩一