コメッセージ No58(2001年3月号)
今の季節は春への期待ともう少し寒さの中でゆっくりしたいという何とも複雑な心境ではあります。
さてところで先日STV(札幌テレビ放送)の”どさんこワイド212” で私の農場が放送されましたので、その時の顛末をご紹介いたしましょう。
2月18日のお昼時、ピンポーンとチャイムが鳴ったので出てみると若いあんちゃん?...どちらさん?と聞くとTVの取材なんですが、お米の話をいいですかといきなりきたもんだ。
よくよく見ると確かに後ろにはTVカメラらしきものを持ったのが3人いるではないか。
まぁ断る理由もないしお米の宣伝にでもなることだし(思わずスケベ根性が出てしまった)いいよと承諾をしたまでは良かったが、次にごはんを是非とも食べさせてくれという。
実はその時家内は留守で私と子供とでおもちを焼いて食べているところで、ごはんもなくありゃ、こりゃちょっとあんばい悪いなと一瞬頭をよぎる....。
少し口ごもりながら「でもかあちゃん留守だし、ごはんもないし...」で間髪いれずにそこでレポーターの佐藤君「いやぁ大丈夫です、私が炊きますから」 何!おいおいおいおい冗談だろう....。
もうすっかり向こうのペースにはまってしまって、まず精米なんかの作業場の取材を済ませ次にいよいよ飯炊きの段取りとなるが、よっぽど親しい者しか台所になんか入れたことがないのにあとでかあちゃんに何て言われるだろうと心配?するこちらの気持ちなんかぜんぜん無視....だよね、結果的には。
佐藤君は多少のご飯粒が着いた炊飯釜をさっさと洗ってお米はいくら炊きますと聞くのだが、なかなか手際がいいのにへんなところで感心してしまった。
そんで、米の量をはかるカップがない..あちこちの戸棚を開けるが、気が動転していてどこだかわからん。結局佐藤君が見つけて5合を研いで、さて水はどのぐらいだ、このぐらいだとスタッフでわいわい。
電気ジャーにセットしてすぐにスイッチは入れられないから、これから別の取材に行って1時間ぐらいしたらごはん食べに!?戻ってくるので炊いといて....っ と言い残して行ってしまった。
はぁ~今のはいったいなんだべ~って、しばし...ぼーぜん.....としてしまう。アポ(取材の予約)を取らないでやるのがこの番組の流儀とか....たしかにいやであれば断れば済むことだが、やっぱり一般庶民はマスコミには弱いからなぁ。
取材が終われば、ねぇところでこれはいつ放送になるのさ?なんて妙に期待しながら尋ねてしまうんだわ。
ほどなくうちの家内が帰ってきたがどう話したものか切り出しあぐねているうちに、子供が暴露...にわかには信じられなかったようだが、米が研いであるのをみてこりゃたいへんとばかり、居間の洗濯物やらなにやら大慌てで片づける。
そんなところへ佐藤君と取材班が炊きたてのごはんを食べにきましたよ。先ほどまでの険しかった顔に笑みを浮かべて迎え入れるかあちゃん....う~ん、いやぁさすがのもんだね。
いそいそと食卓へ招きごはんをよそり漬け物(ばあちゃんが漬けた)を出して、最後にはお茶のサービス。これでごはんの味もばしっと決まったものだから本当によかったぁ~。
今回のハプニングでやっぱり「家内?安全」がいい米作り、美味しいごはんの第一条件なんだなぁ~とつくづく思い至った次第...日頃のかあちゃんの存在とサポートの大きさを感じいった日となりました。
やや1時間半ぐらいの取材だったのだけれども、実際の放送時間は5分程度でカットされてへんなふうに話がつながったりするところもあって、昨年秋のHBC (北海道放送)ビタミンテレビの放送の時も思ったことだが、マスコミ放送の側面、裏側にもやっぱり注意しなければならないなと思います。
先に行われた合鴨フォーラムの宣伝もしてくれと都合のいい頼みもしたのだが、残念ながらこれもカットされて...ぎちぎちの時間の中でのプログラムでしかたがないか....それにスポンサーでもないし...。
でもこの放送のおかげでまたお客様も増えたこともさることながら、なにより嬉しかったのは「テレビみたぞ!」って先月号で話のあったアメリカ実習の時の仲間から22年ぶりに電話をもらったことでした。
道南の厚沢部で農家をしている彼は当時からえらく存在感があり、人間的な大きさみたいなものを感じさせてくれるやつでした。
私が「農」の道で迷いうろうろしていたころ、たしか彼は日本農業賞を受賞したことがあってすごいなぁと思ったこともあったし、つい昨年も農業新聞に大きくすばらしい経営ぶりと地域でのリーダーシップぶりが紹介されていました。
この冬の間は何してるかというと一週間に4回のスノボーざんまいという....なんというゆとり!!!
経営内容の良さということもあるでしょうが前述のような彼の心の有り様、ふところの深さからこうした暮らしぶりができるんだなということが、電話の向こうの彼の話っぷりから十分うかがい知ることができ、どこかこせこせしている自分と比べてみて本当に魅力的で「男が男に惚れる」といった形容があてはまるようにも思います。
今度機会をみてぜひとも会いたいなぁと約束をしたけれども、近いうちに実現させるつもりです。
それから2月27、28日と開催された全国アイガモフォーラムは南は九州鹿児島から北は東北青森まで数県を除いて全国から270名ほどが札幌市の定山渓温泉に集い無事終了いたしました。
準備等で1年ほど実行委員を務めさせていただきましたが、まずもってほっとしております。
運営上での小さなミスはあるにはありましたが今回の大会はまずまずの成功だったと思いますし、とりわけ大会長の北大、三島先生、準備委員長の浅野氏の喜び、安堵感はいくばかりかと察するところです。
そしてなにより事務局を担当した北大の学生諸君達の頑張りには大いに敬服し、感謝するところですが同時に彼らにしてもとっても貴重な経験でなかったかと思います。
力を合わせて大きな事を成し遂げることの難しさと、やり終えた時の感激...これはきっと彼らの一生の宝物になる...はずです...。みんなご苦労様でした。
投稿者:taka-farm