コメッセージ 108号
種まきに対する農家の思いというのはまた格別のものがあります。
実りへの期待で胸がいっぱいになります。
種が芽吹き、土中からスクッと立ち上がって出てくる姿は見ていて、本当にいとおし くなるものです。
芽が土中から出てくるときの力強さには本当に驚かされます。 「♪松の根は岩を砕いて生きている」とは私が子供のころ、NHKが放送していた下村 湖人原作の”次郎物語”の主題歌の一節ですが、ひとつのポットに籾3粒ぐらい入っ てそれらが芽吹くときには上にちょっとした粘土の固まりがあってもぐんぐん持ち上げてしまいますからね。
松の根と稲の籾の芽吹き、比較対象にはならないかもしれないけど、どちらにも共通 しているのは、生きていくことのすごさだと思います。
生きようとする"意志のすごさ"を、日々青さを増してゆく苗代を眺めていてつくづく 感じてしまいます。
これから幾多の試練・・・・・寒さや台風、病害虫の被害などに遭うのだろう・・・・・。
どうかそれらに耐え豊かな実りをもたらしてくれよ!
それからもうひとつの...「ふーっ・・・・やっと終わった・・・・」があります。
それは当ファームの第3期目の決算が終わってその経営成果が明らかになったことです。
当然同時に国税当局に納税の手続きもするわけですが、いくらかの黒字になり法人税も若干納めることになりました。
昨年来よりの異常なまでの米価下落で米農家は青息吐息だということはすでに申し上げたところですが、そんな中で黒字、利潤を上げられたということは20年近いこだわりの米作りと直売の方向が間違っていなかったということのなによりの証左だと思います。
もっとも年がら年中、仕事や経理にぼわれてそれで赤字というんじゃ、な~んもこう したこだわった米作りなんて、これっぽっちも意味のないことになってしまいますが。
経営を法人化して3年、徐々に"会社"の重さみたいなものを考えながら事業の長期継続、 さらに経営の安定をはかることに思いを巡らす昨今ではあります。
いや、でもたいへんですよ・・・・・.実際。
4月の中下旬の時期は一年でも一番の忙しい時ですから日中はハウスのビニールか け、育苗床づくり、灌水装置の設置、種まき機の段取、種籾の崔芽(さいが=芽がほ んのちょっと切った状態にすること)、かけ土通し、箱並べ機の用意などなど....でそれらの作業を進める臨時雇いの人たちの手配と指導・・・・・でおも しろい?ことにこれらの作業、手順というのは絶対に思った通りにはいかないんですよね・・・・・。
それは親方(社長)の段取りが悪いから?・・・・う~む、ま、それはたしかにまち がいないかも・・・・崔芽器で種の崔芽をしようとすれば温度(32度ぐらいがもっと も芽が出る)が上がらない・・・・なんで?・・・・で原因は電源の差し込みの線の 接触不良だったりして。
播種済みの箱をハウスに並べ終えて、さ~て水まきだ!とポンプのエンジンを動かす と、1分もしないうちに止まってしまう・・・・結局燃料パイプの目詰まりが原因で、これも 掃除をするとえらく調子がいい。
でポンプが勢いよく回ったと思ったら、灌水パイプの噴霧ノズルが水圧で吹っ飛んでしまう・・・・・てな具合・・・・トラブルの連続で親方(社長)はそれらへの対応 であっちこっち右往左往。
そんなこんなで一日終わったあと決算のための資料作成、仕訳の訂正などを税理士さ んの指摘を受けてやります。
肉体酷使モードから頭脳事務モードへ、この切り替えが実にゆるくないんですよ。
あぁ、でもなんだかんだいってもこんな案配で毎年やり過ごしてきたのですよね。
たぶん来年の4月もこんなことでグチャグチャになりながらやることになるでしょう・・・・・ 進歩がないなぁ。
投稿者:taka-farm