コメッセージ 130号 2007年03月号
そして融雪剤の散布なども始まっていよいよ水稲の農作業本番の入口に入るわけですが、こと今年に関してはいつもの年とかなり違っているように感じます。
もう皆さんもおわかりのこととは思いますが暖冬の影響で当ファームでも積雪が例年の2/3ほどしかないのです。
たぶん私がこの地に生まれてからの50余年で1番の暖かく、少雪で過ごしやすい冬だったのではないかと思います。
そんな折り先日、今話題の地球温暖化が環境に与える深刻な影響を取り上げた映画「不都合な真実」を観てきました。
世界の中の小さな日本、さらにその地方の一地域で起こっている前述のようなこと.... すなわち気候の温暖化が全地球規模で見られ、それによって今後世界中で引き起こされるであろう様々な問題に警鐘を鳴らしているのですが、どうも目と耳を塞いで見なかったことにしよう、聞かなかったことにしようと思いたくなるような内容ではありました。
北海道はもともとは冷涼な気候で度々冷害による甚大な被害を受けてきました。
米を作っている農家のあいだではそれを受けて「暖かくなれば冷害の心配もしなくてすむし、コシヒカリみたいな稲が作れるようになるかも知れん」....「そうすれば収量も上がるし、もっとうまい米ができて高く売れるべや」....みたいなことでなにやら安直に、さも温暖化がいいことだと冗談とも本音ともとれるような会話がされることがあります。
北海道の農家にとって温暖化(おんだんか)という表現はこの映画を観るかぎり柔らかすぎて危機感を相当薄めてしまいそうです。
が、実際にはこれまでになかったようなバケツをひっくり返したような集中豪雨、植えた苗が枯死するような大干ばつ、一夜にして収穫皆無になるような超巨大台風の襲来など、想定をはるかに越えた気象変動が頻繁に起こるとされるのです。
ですから温暖化=微熱(びねつ)などといった生やさしい言い方でなく地球高熱化(こうねつか)とでも表現した方がいいのではと思います。 ラジオ番組で気象予報士の方が言っていましたが、体温36.5℃の人が37℃になってもちょっと体がだるいぐらいで済むが39~40℃にもなれば命にかかわる.....と。
もう半世紀もしないうちにこのまま"高熱化"原因物質の二酸化炭素を出し続ければ地球は命の危険な状態になるというのです。
以前このコメッセージにインディアンやアイヌの人々の生き方、考え方に学ぶところが大きいのではと書いたことがありますが、地球の命を後代の人類、そしてすべての生物につなげていくためには「知足」、足るを知ってもうこれ以上望まないという心、特に先進国(そのなかでもとりわけアメリカ)はその価値観を持たなければならないでしょう。
アメリカ型の大量生産、大量消費社会からの決別はもはや待ったなし....。
あぁ... でもこれは政治的にも自立できていない現状と私を含めたほとんどの日本人が知らず知らずのうちに「物」に取り憑かれた生活をさせられているという認識すらないことを思うとあまりにも時間が足りない。
おい!そんなことを言うならお前さんはトラクターやめて馬で田んぼ起こしやれよ! と言われたら返す言葉もない。 ....一人一人が「足るを知」ろうとしての意識改革からでは「時間が足りない」...。
でも少しづつでもやるしかないのでしょうね。
ナタネを栽培して油をとってトラクタ燃料をつくる、たくさん着込んで暖房温度を下げる、駐停車のときマメにエンジンを切る、ものを大切に使い長持ちさせる....小さくともやれることはいっぱいある....焼け石に水でもやる価値はある。
投稿者:taka-farm