コメッセージ 143号 2008年 04月号
昨年10月から12月まで何とか駆け込み営業はしたものの、準備不足でいろいろ不都合があったので棚やら、椅子、テーブルなどゴールデンウイークからの本格営業にむけて2月から3月にかけて作っていたのです。
大工(九)ならぬ大ろく(六)ぐらいの腕で切ったり張ったりと典型的な"あてがい大工"ゆえにテーブルは見ればすぐにわかるほどに傾いているし、椅子は床で前後左右に振ると必ず一本の足が浮いてカタカタ鳴る始末。
超大手のホームセンターが市内にあって半製品(カンナかけがされていたり決まった寸法に切ってあるもの)の材料についてはまず手に入らないものはないと言えるのですが、やはり最後はなんといったって作る人の腕前でしょう。
机の上の"りんご"はコロコロと転がり、椅子はいつのまにか揺り椅子に早変わりということであんばいが悪そうですが、素人の日曜大六の作品を試しにご来店いただければ幸いです。
で、どうしても気になっていたことがひとつあって、なんとか解決しなくてはならないなと考えていたのが障害のある方への対応です。
昨年オープンしてまもなくお年を召した方が杖をつきながら娘さんらしき方に支えられてお店に入って来られました。
見ていると健常者にとってはなんの差し障りのない地面から15cmほどの高さのフロアもたいへんな苦労となるようです。
安心安全な農畜産物やその加工品を販売しますと言っておいて、さてさて苦痛もなく安全にお店に入れないということでは"ふらり"の看板にもかかわりかねないでしょう。
そこで車椅子でも楽に入店できるようにと駐車場からフロアまでの間7mぐらいの通路を木板で作ったのですが、正直けっこう材料費でかかってしまいました。
さすがにこれは前述のテーブルや椅子のような"あんばい"の悪いものであってはならないのですから、それなりにいい材料でガッシリとしたものに作りましたが・・・・まだ誰も実際に使った人はいませんので使い勝手の評価は◎、〇、△、×?・・・・でもそれ以前にそもそも建物の中の売り場の広さが6坪しかありませんから車椅子で歩くにはちと狭すぎますけれども。
ところでこれからいよいよ春の農作業が本格化しますが、育苗ハウスの段取り、種まき、堆肥や肥料の撒布、田起こし、そして"ふらり"のオープン・・・・いやいやいややややや・・・パニックになるほど忙しくなりそうな予感がします。
毎年この時期の私の一日作業時間は朝5時頃から夜8時頃まで朝、昼食と午前、午後の2回の休みを除いて14~15時間にも及びます。
どこの農家もおおかた似たりよったりだとは思いますが特に水田農家は育苗と田の準備、そして転作による野菜、花卉、畑作などとすべてが重なってとにかくたいへんなわけです。
これだけ一所懸命やっていても現在の米価(JA等への販売価格)を米の生産に費やした労働時間で割ると全国平均でなんと時給256円!!だって。
だとすれば北海道の最低法定賃金は確か600円台半ばだったと思うけど、一般的な米農家はその半分以下で働いているといってもあながち間違いではないでしょう。
これでしっかりとした安全、安心のおいしいお米を作ることができるのでしょうか?
相次ぐ中国産農産物と加工品の問題をこの上ない追い風として、このチャンスを逃さず日本農業の浮上のきっかけにしようと実にかまびすしいことですが、対岸の不始末を利するだけのものがこと米(コメ)に関してこちらの生産現場に整っていると言えるのだろうか。
食べること、福祉のことその他諸々、安全を得るためにはそれなりのコストはかかるということを彼我の比較ではなく本質的なところで見定めなくてはなりませんね。
投稿者:taka-farm